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時の虜  作者: 古都麿
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27/28

第28話 永遠の「好き」

「ねえ、君一人?

お茶しない?」

「えっと、ごめんなさい、待ち合わせ中なので」

よくある街のナンパ風景。

大学生ぐらいの男子と少し幼く見える少女。

ここは地域ブランドのアンテナショップが並ぶショッピングモール。

「お待たせ」

声を聞いた途端、少女の表情がパァっと明るくなった。

「あっ、待ち人来たるなので、失礼します」

声をかけてきた青年に向かって駆け出す少女。

「ちょっと、遅いよ」

少女は青年に可愛く拳を振り上げた。

「ごめんごめん」

青年は平謝りだ。

「じゃあ、お詫びにソフトクリーム奢って」

少女はソフトクリームスタンドを指差した。

「イチゴソフトとずんだをひとつずつ!」

少女が注文する。

奈良の古都華を使ったイチゴソフトと山形の枝豆を使ったずんだ。

「これなら、途中で交換して両方食べられるでしょ」

楽しそうに笑う少女。

「でも、なんでずんだ?」

「だって、甘いのあまり好きじゃないでしょう?」


ソフトクリームを受け取って、スタンド横のベンチに座る。

「はい、あーん」

少女は青年の前に自分のイチゴソフトを差し出した。

その時。

「なあ、今日ってなんの祭日だったっけ?」

大学生風の男子三人組が大声で話しながら歩いてくる。

「おい、それやばいよ

今日、建国記念日だろ」

「そうそう、しかも100周年だぞ」

「えぇー、そうなんか」

「でもさ、建国100年っておかしくないか?」

「何が?」

「だって、帝位継承って今までなかったんだろ?

それで100年って、絶対死んでるって」

「そもそも、本当に皇帝っているのか?」

「ほんと、それ!」

「だって、もう90年以上、誰も姿見てないっていうじゃん」

「だよな」

「でも、歴史で習うだろ」

「まあ、そうだけど

でも、あれだろ、婚姻の儀で“お兄ちゃーん”

あんなの、公式行事でありえないじゃん」

ソフトクリームを食べながら、そんな会話を聞いていた少女は顔を赤らめた。

それを見た青年がプッと吹き出している。

「お兄ちゃん、ひどい!」

少女は頬を膨らませた。

「それにあれだろ、その皇后が中学生って、それこそありえないだろ

完全にロリコン皇帝じゃん」

そう言って大学生は笑った。

少女もそれを聞いて吹き出した。

ずんだソフトを食べながら、青年は不満そうに俯いている。

「第一さ、異能?超能力?あるわけないじゃん

それで中国を下すとかありえない」

「そうだよな、どう考えても、軍事機密の戦略級兵器でしかありえないよな」

そんな話をしながら、大学生グループは歩いて行った。

少女と青年は話を聞きながら顔を見合わせて笑った。

「そろそろ行こうか」

「うん」

青年が立ち上がると少女も後に続いた。

並んで歩き始めて。

青年は少女の肩に手を回してそっと抱き寄せた。

少女は抱き寄せられるより勢いをつけて青年にもたれかかった。

そして、青年を見上げて。

「好き!」

そう言って、青年をグイグイ押す。

「おっと」

青年は一瞬ふらつきながら少女を抱き止めた。

少女は嬉しそうに頬を染めた。

二人はそのまま寄り添って雑踏に消えていった。


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