番外編 職務質問
「ちょっと君たちいいかな?」
若い警官がカップルに声をかけた。
20代半ばに見える青年とどう見ても中学生の少女。
青年が少女の肩を抱いている。
援助交際の疑いが濃厚だ。
二人は振り返るが何も言わない。
君たち名前は?
「……」
「答えてくれないと、このまま返すわけにはいかないんだけど」
「……」
「ちょっと一緒に来てくれるかな?」
二人は特に抵抗することもなく大人しくついてきた。
一応基本通り、男女別々の取調室へ。
青年は若い警官が担当し、少女は女性警官が担当した。
青年の取調室。
「君、名前は?」
「……」
「年齢は?」
「……」
「あの少女との関係は?」
「……」
黙秘するつもりか。
任意なのであまり強く聞き取りはできない。
「黙っていると、心象が悪くなるよ」
「……」
ふうー
ため息をついて青年の顔を見た。
気弱そうな理系青年といった風貌。
でも、頑なに黙秘を続けている。
さて、どうしたものか……
その頃、別の取調室。
「お名前はなんていうの?」
「……」
「今、何年生?」
「……」
「お父さんかお母さんの連絡先は?」
「……」
不機嫌そうな表情
「何か言いたいことはある?」
「デートの邪魔されて腹立つ」
ようやく口を開いたと思ったらこれ。
「そんな反抗的な態度だと帰すわけにはいかなくなるわよ」
「……」
また、黙り込んでしまった。
その時。
コンコン
「はい」
入ってきたのは署長。
「すぐその子を解放するんだ」
「えっ、でも」
「反論は許さん、上からの指示だ」
婦人警官は少女を玄関まで連れてきた。
そこに青年も若い警官に付き添われてきた。
二人は警察署の玄関を出て。
少女が青年に腕を絡めて、振り返りざまにベーッと舌を出した。
そのまま二人は振り返ることなく歩いて行った。
「なんでなんですか?俺納得いかないっす」
「出世したければ詮索するな」
「あの二人、一体何者なんですか?」
「俺も知らん」
それにしても。
可愛いなぁ。
署長は少女に娘を重ねていた。




