第2話 死の宣告
2年生になって、一週間が過ぎた。
最近、身体がだるい。
だるい?重い?
立っているとふらつく。
「詩織、具合が悪いの?」
お兄ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「お兄ちゃん、うん、なんか身体がだるい」
「病院で診てもらおう」
お兄ちゃんが車を出してくれた。
受付して、待ち時間が1時間。
採血して1時間。
長い。
ようやく診察。
「多発性骨髄腫疑いです
骨髄検査します」
腰にぶっとい針刺された。
麻酔してるから痛みはそれほどでもないけど。
そして、またしても結果待ちに1時間。
検査結果は陽性。
「かなり進行しています
薬での治療は難しいです」
「手術は?」
お兄ちゃんが聞いてくれた。
「多発性骨髄腫は血液癌なので手術適応はありません」
「じゃあ、どうすれば?」
お兄ちゃんの声が震えてる。
「余命3ヶ月です」
余命3ヶ月?
3ヶ月?
3ヶ月後に死ぬの?
頭が真っ白になった。
どうやって家に帰ったのかも覚えてない。
気がつくとベッドに寝ていた。
「詩織」
お兄ちゃんが顔を覗き込んでいる。
「気をしっかり持って」
気がつけば、私の手はお兄ちゃんの手に包まれてた」。
涙が溢れた。
お兄ちゃんが頭を撫でてくれる。
「詩織」
お兄ちゃんの声も震えてる。
結局眠れないまま朝を迎えた。
お兄ちゃんはずっと私の頭を撫でてくれてた。
そういえば、こんなこと、前にもあった気がする。
あれは5年ほど前。
日本に中国軍が攻めてきて、日本は抵抗しないまま降伏した。進駐してきた中国軍の暴行と略奪でパパとママが殺されて一人になった時、眠れない私と一緒に寝てくれて、一晩中、背中をトントンしてくれてた。それ以来、一緒に暮らすようになったお兄ちゃん。
私にはもう3ヶ月しかない。せめて3ヶ月間、後悔のないようにしたい。
時間のかかる望みはもう無理。だとしたら、私の望みは何?
そんなことを考えていたら、また眠れないまま夜が明けた。




