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時の虜  作者: 古都麿
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第18話 三者面談

「校長先生」

「どうしました?中山先生」

「どうしましょう」

「なにがです?」

「中野詩織の三者面談、皇帝陛下がお見えになるんですよ」

「まあ、保護者みたいなものですからね」

「それで済ませていいんですか?」

「いいんじゃないですかね

普通の中学生活を送らせてやってくれという勅命だし」

校長は他人事のように言いやがる。

まあ、そうは言っても、対応策なんて見当もつかないんだけど。


そして、恐怖の三者面談当日がやってきた。

富山くんとの面談が終わって。

「中野さん、どうぞ」

皇帝陛下が生徒と、廊下に置かれた待合のパイプ椅子に座っている姿はシュールだ。

とはいえ、外見的にはごく普通の理系青年という風貌。

服も普通のスーツ。

本当に普通。

事情を知らなければ、親の代わりに歳の離れた兄が同行している感じ。


「どうぞこちらに」

椅子を勧める。

「初めまして、伊藤翔太です」

「初めまして、担任の中山です」

声が震える。

「早速ですが、中野さんの現在の成績は……」

現状分析と、現実的な選択肢、少しチャレンジングな選択肢を説明した。

皇帝陛下は静かに聞いていた。

説明が終わった後。

「詩織はどうしたい?」

「志保の方が少し成績がいいの

志保と同じ学校に入れるように頑張ってみたい」

中野さんはそう言った。

少しチャレンジングな選択肢のうちでも上位校。

俺は皇帝陛下の要求が怖かった。

特別枠を要求されたらどうしよう。

この学校だけじゃなく、教育委員会を巻き込む大ごとになる。

俺はなにを言われるか身構えた。

「詩織の希望を尊重します」

皇帝陛下がそう言って。

「ご指導、よろしくお願いします」

私に頭を下げた。

皇帝が頭を下げる?

まじ?

俺も慌てて頭を下げた。

いや違う。

なんで俺が頭を下げてるんだ?


俺は、皇帝の言った“ご指導”の意味を考えていた。

あれは、中野さんを志望校に入れろという要求なのか?

言葉通りに受け取っていいのか?

わからん。

わからんことは校長に投げよう。


「校長」

「終わりましたか?」

「はい」

「どうでした?」

「面談自体はごく普通でした」

「それは結構」

校長も胸を撫で下ろしている。

「しかし……」

俺は三者面談でのやり取りを校長に詳細に説明した。

「なるほど

言葉通りに受け取っていていいと思いますよ」

「そうなんですか?」

「ええ、今のところは」

引っかかる言い方だな。

「どうしてです?」

「今回は宮内省がなにも言ってきてませんから」

「あっ!」

確かにそうだ。

これまで、要配慮事項があれば宮内省から連絡があった。

ということは。

俺はようやく安心した。

それにしても、校長、随分と慣れてきてるなぁ。


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