第10話 校長の苦悩
夏休み最終日。
プルルルル
「はい常和中学です」
事務職員が電話をとった。
「校長先生、宮内省の山下様からお電話です」
えっ!?ろくなことないじゃん。
「電話に出なきゃだめかな?」
「だめでしょう」
仕方ない。
「お電話変わりました、森下です」
「校長先生、お久しぶりです
さて、明日から新学期ですが
詩織様の御学友の吉村歩美さんと長谷川志保さんが詩織様の侍女に指名されました」
はぁ?
「ついては、通常の中学生活を送れるようご配慮いただきたい」
ほらきた。
もういや。
「配慮、でよろしいのですね」
「そうです」
「承りました」
「なお、侍女ですので、三年生のクラス分けでは同じクラスになるようにご配慮いただけますよね?」
「はい、左様にいたします」
「では、よろしくお願いいたします」
それだけ言って電話が切れた。
「校長、今度はなんと?」
教頭がおずおずと尋ねてきた。
どうせ何もしてくれないくせに。
「中野詩織のクラスメイトの吉村歩美と長谷川志保が、中野詩織の侍女になったから、普通の中学生活を送れるよう配慮してくれって」
「それはまた……」
教頭、楽しんでないか?
俺が来年で定年だから、自分が校長になる頃には三人とも卒業してるとか考えてるんじゃないだろうな。
「教頭先生」
たっぷり間をとって。
「対応策は、お任せしますよ」
ニヤッと笑ってやった。
ざまーみろ。
俺はちゃんと指示したからな。
教頭が口をぱくぱくさせてるのを見て、俺は始業式の式辞の原稿に目を落とした。




