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ショートショート集  作者: ryugai.


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5/8

お試し

【本日の運勢】


No.1507 お試し

No.2247 経験則

No.1640 シンセサイザー

No.1404 ED

No.1694 タルタルソース

No.3056 同意


サイコロが示した数は「1」


(▭-▭)φ:「お試し」ですか。


(▭-▭)φ:ドローしていいですかね?(笑)


(▭-▭)φ:まあ、頑張ります!

 授業が終わり、次の移動教室に備えて荷物を用意していた。

 すると突然声をかけられる


「おーい!」


 声の方を向くとそこにいたのは案の定、壱路だった。


「なんだ?」


 私は要件を聞く


「じゃじゃーん!」

「お! 入荷したんだ!」


 壱路が手に持つのは俺も好きな本「神霊幻想紀」の最新巻だった。


「そ! 昨日部活から図書館寄ったら届いてたんだよね! 昨日は宿題もやらずに読んでたよ」

「何時もだろ」


 間髪を入れずに正論で刺す。

 そして席を立ち、美術室へと並んで歩いて行く。


「うっ、氷室もじゃん!」

「⋯⋯⋯⋯」


 事実なので何も言えずに黙る。


「まあ、それはそうとして、読みたい?」

「ん? だね」


 壱路の物言いが少し引っかかったが、気にせず首肯する。


「そこでいまならなんと! お・試・し・価・格! で宿題を一回やってくれるだけで貸してあげます!」

「あ、じゃあいい」


 壱路の顔が少しウザかったのもあるが、単純に宿題を増やすなんて断固拒否するからだ。

 そもそも宿題をしているのか?と言われたら黙るしかないが⋯⋯。


「なんで?!」

「いや、もう電子書籍で買ったし、家に今日届くし?」

「うっ」


 美術室の自分の席に座る。

 教室の席とは同期しておらず、先生の割振りのようで私と壱路は隣席だ。

 話も終わったので自分の席に座って本を開く。


「っておい! 持ってるじゃん! 今日家に届くんじゃないの?!」

「ああ、それは特装版の方。こっちは読書用だな」

「⋯⋯⋯⋯」


 壱路が黙ってしまった。

 何で黙ってしまったのだろう?

 私は何も間違ったことは言っていないのに。


「そうだ、壱路くん。君に素晴らしい提案をしよう!」

「⋯⋯どんな?」


 訝しげな顔をしてこちらを伺い見てくる。


「そんな目で見るなよ。ただ、今ならお試し価格で特装版のCDを貸してあげようか?って話。なぁ〜に、宿題を2回してくれるだけでいいんだよ?」

「ちくしょー!」


 美術の教室の授業が始まった。


 〜〜


 余談だが、壱路くんは無事に特装版を聞けたそうだ。

 めでたし、めでたし。

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