お試し
【本日の運勢】
No.1507 お試し
No.2247 経験則
No.1640 シンセサイザー
No.1404 ED
No.1694 タルタルソース
No.3056 同意
サイコロが示した数は「1」
(▭-▭)φ:「お試し」ですか。
(▭-▭)φ:ドローしていいですかね?(笑)
(▭-▭)φ:まあ、頑張ります!
授業が終わり、次の移動教室に備えて荷物を用意していた。
すると突然声をかけられる
「おーい!」
声の方を向くとそこにいたのは案の定、壱路だった。
「なんだ?」
私は要件を聞く
「じゃじゃーん!」
「お! 入荷したんだ!」
壱路が手に持つのは俺も好きな本「神霊幻想紀」の最新巻だった。
「そ! 昨日部活から図書館寄ったら届いてたんだよね! 昨日は宿題もやらずに読んでたよ」
「何時もだろ」
間髪を入れずに正論で刺す。
そして席を立ち、美術室へと並んで歩いて行く。
「うっ、氷室もじゃん!」
「⋯⋯⋯⋯」
事実なので何も言えずに黙る。
「まあ、それはそうとして、読みたい?」
「ん? だね」
壱路の物言いが少し引っかかったが、気にせず首肯する。
「そこでいまならなんと! お・試・し・価・格! で宿題を一回やってくれるだけで貸してあげます!」
「あ、じゃあいい」
壱路の顔が少しウザかったのもあるが、単純に宿題を増やすなんて断固拒否するからだ。
そもそも宿題をしているのか?と言われたら黙るしかないが⋯⋯。
「なんで?!」
「いや、もう電子書籍で買ったし、家に今日届くし?」
「うっ」
美術室の自分の席に座る。
教室の席とは同期しておらず、先生の割振りのようで私と壱路は隣席だ。
話も終わったので自分の席に座って本を開く。
「っておい! 持ってるじゃん! 今日家に届くんじゃないの?!」
「ああ、それは特装版の方。こっちは読書用だな」
「⋯⋯⋯⋯」
壱路が黙ってしまった。
何で黙ってしまったのだろう?
私は何も間違ったことは言っていないのに。
「そうだ、壱路くん。君に素晴らしい提案をしよう!」
「⋯⋯どんな?」
訝しげな顔をしてこちらを伺い見てくる。
「そんな目で見るなよ。ただ、今ならお試し価格で特装版のCDを貸してあげようか?って話。なぁ〜に、宿題を2回してくれるだけでいいんだよ?」
「ちくしょー!」
美術の教室の授業が始まった。
〜〜
余談だが、壱路くんは無事に特装版を聞けたそうだ。
めでたし、めでたし。




