#8~四拝 甘梨の独裁
表紙の絵面的にもとてもバランスの良い新キャラ登場。
これは・・・活躍の予感ですわ(笑)
水銀を吸い込んだかのような毒をも寄せ付けぬ銀髪に、
紗土香よりも更に一回り大柄の体躯。
赤い瞳は目の前の獲物を決して逃がさず、豊満な体は視線を逃させない。
四拝 甘梨は、紗土香とは別の国にて、
既に完全な管理体制を完成させていた。
紗土香がその歪んだ人類愛ゆえにドM化社会を作り出そうとしたり、
その紗土香に協力する形で自らの加虐心を満たそうとしている板目と違い、
四拝はただ必要であるからと言う計算の元で、国民を支配・管理していた。
彼女には理想や欲求と言ったものが無く、ただ計算の上で必要であれば
その為に最適な形で支配と管理を行う、といったものであった。
ゆえに彼女の管理と支配は早く完成した。
そこに理想や自身の欲求と言うものを交えなかった事で、
最も最短ルートで結果を果たす事が出来たのだ。
これには紗土香も臍を噛んだ。
紗土香は自身の事を冷酷であると評していたが、
いささか愛による統治と言う理想を掲げた事により、
いまだにレジスタンスなどが蔓延る現状である。
板目と言う自身の協力者を立てて二人掛かりでも、
まだ理想郷は作れていないのである。
そこに比べれば、四拝は徹底していた。
紗土香が『お猿さん』と呼ぶ国民達を、四拝は何とも思っていない。
おそらく、砂場で城を作る時の砂程度にしか考えていないのだ。
そんな四拝が、紗土香の計画の進捗具合を確かめに、
はるばる国外からやって来た。
「あら、四拝さんじゃありません事。
珍しいですわね、あなたが私の国にいらっしゃるなんて。
どうか致しましたこと?」
「フン、もうとっくにお前の国も支配管理が終わっているかと思えば、
何だこの体たらくは。大体、今回の世界的計画についての立案者は
お前だろう。その張本人が私よりも計画の実現が遅れているのは
一体どういう事だ?」
「あら、別に私、早さが全てだとは考えていませんですわよ?
それにあまり急ぎ過ぎても、楽しみが減るでしょう?
ゆっくりじっくりと、国が理想の形に整って行くさまを見届けるのも
一興と言うものですわ。」
「フン、お前は本当に理想論というものが好きだな。
そんな事にカロリーを消費しているから、肉付きも良くないのだ。
見て見ろ、私の体を。コレに忠誠を誓わぬ男はおらぬ。」
「あらぁ、肉が付けば良いと言うものではありませんことよ?
適度に均整の整ったバランスの体こそ、至高というもの。
四拝さんには少し、難しかったかしら?」
「貴様、そんな負け惜しみを・・・」
するとそこへ、板目 つける がやって来た。
彼女は生粋のサディストだ。
「紗土香様、お会いに伺いましたよ~、っと、アレ?
四拝、来てるじゃん。」
「あぁ、板目か。久しぶりだな。
相変わらず、下品な身なりをしているな。」
「いやいや、紗土香様よりも3つもおばさんのアンタに言われても。
アタシの若さが羨ましいのか?」
どうもこの3人が集まるとこうして、争いが絶えないらしい。
だから、お互いに似た境遇にいながらも極力接触を絶っているようだ。
”ところで” と、四拝が切り出した。
「反乱因子の中に時折現れる、社会を変革し兼ねない”革命者”。
あれの兆しは、無いのか?」
「あら、それでしたら私が知る中ではありませんわ。
最も、あぁしたものは必然的に現れますから、
出現そのものは問題ありませんわ。
大切なのは力を持ち増殖する前に、潰す事。
害虫と同じですわ。それはそれで面白いゲームですけど。」
「フン、そうやって余裕をかましてると、いつか寝首を掻かれるぞ。
私はただ同じ立場の者として、それを警告しに来てやっただけだ。
それではな、私はもう帰るぞ。」
板目が名残惜しそうに声を掛ける。
「え~、せっかくここまで来て、もう終わり?
どうせならさ、ウチの国の現状を見てさ、遊んで行けば?
アンタって感情が無いように見えて、本当はゾクゾクしたりするんだろ?
何となくわかるんだぜ、アタシ。」
「別にそんな事は全然ない。
だが良いだろう。あまりに不甲斐ない丸木戸に代わって、
私がいくらかの民達を支配・管理下に置いてやる。
良いな?丸木戸。」
「私は、一行に構いませんことよ。
お猿さんの一匹や二匹遊ばれた所で、問題ありませんわ。
計画には影響ありませんもの。」
こうして四拝は、他国の民に対して手を下す事にした。
「あそこで地面に座り込んでヘラヘラと笑っている若者達、
全く従順そうな雰囲気が無いな。
まだ計画が全く及んでいない証拠だ。どれ、私がやってやるか。」
実際に紗土香のドM化計画の進行具合については、
地域によりかなりバラ付きがあった。
その為、計画発布以前から何も変わらない地域も少なく無かった。
「おい、貴様ら。何をしている?
そこは天下の往来だ。汚い尻で座るな。
貴様らに似合っているのは両手を上に挙げて、
国土を最低限しか使わないポーズだ。
ホラ、やってみろ。」
「ハァ?何言ってんの、このおばさん。
俺ら別に何も悪い事してねーじゃん。
良い加減にしないとそのデカい胸、揉みしだくぜ?」
しかし次の瞬間、男の顔に一筋の跡が出来ていた。
四拝が咄嗟に取り出した鞭により、顔の中心に痣が出来た。
「いってえぇぇぇーーーー!!!!!!!!
何すんだよ、このババア!!!!!!!!」
殴りかかろうとした時男性は、足元を払われて顔面からうつ伏せになった。
そこへ容赦無く四拝のブーツがグッと体重を押し掛けた。
「貴様、本当にこの国の国民か?
丸木戸の計画は全く及んでいないようだな、嘆かわしい。
さて、貴様。さっきまで自分が座って汚した地面を舐め取れ。
ホラ、さっさとしないと次の鞭は貴様の最も弱い部分に当たるぞ?」
男性は怯えてすぐに地面に舌を伸ばした。
しかし、実際にその舌先を付けるには抵抗があった。
顔はプルプルと震え、舌先が地面に着く直前で止まっている。
そこへ、四拝が容赦無くブーツで頭を踏みつけた事で
男性の舌は地面に着くどころか、歯と地面に挟まれて強烈に痛んだ。
「がぶぇれべkfpsjgfsjg」
男性はあまりの痛みに顔を上げようとしたが、四拝はそれを許さなかった。
ブーツで踏みつけたまま、四拝は言った。
「オイ、貴様。今この国で一番偉いのは誰だ?
間違えれば次は舌を踏みちぎってやるぞ。」
男性は非常に脅えた顔になり、泣きそうな顔で四拝を見た。
そして、どもりながも掠れ掠れ声を上げた。
「あ、あの・・・あ、あなた、様・・・女王様、です!!」
「フン、さっきまでババァだの言ってくれていたのに、
随分と急に大人しくなるんだな?
それなら最初から、抵抗や反抗などするな!!」
四拝は男性の口から舌を引っ張り出し、そこへ鞭を与えた。
一瞬、男性の脳裏に星が浮かんだ。
そしてすぐに強烈な灼けるような痛みと鈍痛。
男性はしゃべる事もままならないまま、四拝を見た。
しかし目をやれば次の攻撃が来そうな気がして、
四拝の足元に目をやるのが精一杯だった。
その瞬間、男性は四拝のブーツがとても魅力的に見えた。
瞳孔が開き、数秒凝視してしまった。
もちろん四拝はそれを見逃さなかった。
「貴様、飼い慣らされなくても元々がMでは無いか。
まぁ、人間はすべからくMだからな。
これだけは私と丸木戸が気の合う所だな。」
四拝は邪魔になったのか、男性を脇腹から蹴り飛ばした。
男性は無様にゴロゴロと転げて行き、腹を抑えていた。
「あ、が、・・・あ、う・・・・。」
「ハァ、丸木戸。お前は甘すぎるからこのような輩がいまだにいるのだ。
もっと支配と管理を強めろ。計画立案者の名が立たんぞ。」
「まぁ、ご忠告ありがとうございますですわ。
再来年のお正月に食べるお節くらいには、
心に留めておきますわ。」
こうして突然の四拝の訪問は終わった。
しかし丸木戸は自身の方向性を曲げる事は無く、
これからもゆっくりジックリと計画を進めて行くのであった。




