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#4~軍人レジスタンスという希望の光

全人類ドM化計画が秘密裏に策定されてから4か月。

人々の間では既にこの計画が噂となり、

一部の界隈ではその抜粋と思われる文書のリークもあった。


しかし多くの人々は気付かぬうちにドM化の流れに飲まれ、

自然とドMになっている人が多い。

そもそもが冗談のような『ドM』という刺激的な言葉により、

本気でこのような計画があるとは思わない人が多かった。


しかし、社会の端々で変化が起こっていた。


強制的に痛みの強い注射が定期的に打たれ、

電子機器類は監視モードがデフォルトとなっていた。


ケンカというもの自体が軽い刑罰や罰金の対象となり、

交際の場でも相手の機嫌を伺い媚びる事が最優先された。


徐々にドM化に侵食されて蝕まれて行く人間社会の中で、

その動きを問題視して反政府組織としてのレジスタンスも出来上がった。


今回はそうした中で、初期に出来たレジスタンスが誰にも知られないまま

潰されて行ったエピソードについて語りたい。




それは全人類ドM化計画が密かに施行されてから2か月の頃だった。

陸軍少尉の反田はんた 伊摺いする36歳は、違和感を感じていた。

最近上層部からの命令がやけに高圧的な割に、

下の者達に対しては腑抜けたような生活を推奨していたからだ。


「こんなものは軍人としての規範に照らし合わせてもおかしい。

 どうも、政府が裏から操られている気がする。」


反田の直感は正しかった。

軍人と言う立場は特殊なもので、時に攻撃的にドSになったかと思えば、

ある任務の時には滅私奉公でドMのように命まで投げ出す事もある。

こうした特殊性に計画策定時に気付いていないわけが無く、

このような特性の職業に対しては特に念入りに計画が練られていた。

上手く組織としての抵抗をする力を奪いながら、

自然な形で内部から崩壊させるという絶妙な支配が必要だ。


その為、大規模な人事異動もあり、これまで以上に武器の使用が厳格化し、

またこれまでには無かった『仲間とは苦楽を共にする心の友である。

よって、家族以上に大事にし、自分の恥ずかしい所も

全てを晒して共有し隠し事の無いようにする事。』といった、

これまでの軍部からすると信じられないような軍則が設けられた。


反田は、このままここに居ては危ういと思い、同僚達に相談した。

しかし彼らの返事は決まって『上が決めた事に従う』と言うものだった。

本来はこれが正しい反応でもあるのだが、それにしても最近は少し

やり過ぎているのでは無いか、と疑問を抱き続けた。


そして来たる敵国との戦争を想定した軍事演習のある時に、事件は起きた。


反田は本当に信頼出来る何人かと、密かにレジスタンスを結成していた。

何とそのメンバー全員が、敵国側の軍人役として抜擢されたのだ。


「何故、俺達だけ・・・コレは絶対に、情報が洩れている・・・。」


しかし、そう気付いた所でもう後の祭りである。

もちろん実弾では無いものの、当たれば相当に痛い模擬弾が使われた。


今回の演習が異常だったのは、反田達の敵国役のチームの人数が、

大本営側のチームの人数よりも圧倒的に少なかった事だった。


「この人数で、どう戦えと言うのだ・・・。」


反田は演習とは言え、真剣に敵国役をこなす上で絶望感を覚えた。

こんな人数で直接戦いに向かえば一気に潰される。

ここは奇襲を仕掛けるしか無い。

まずはあの沼地に潜り、様子を見よう。


反田は仲間達を引き連れて、草木の影にある沼地を目指した。

木の棒きれに糸を付けて、先端に錘を取り付ける。

それを沼地に沈めて深さを確認した。


「よし、腰くらいまでの深さだ。潜るぞ。」


そして反田達が沼地に潜った時、身体に違和感が走った。


「何だコレは、身体が、何者かによって触られている!?」


何と大本営側の兵士何名かがこの沼地に先に潜み、

反田達が来るのを待ち構えていたのだった。


着ていた衣類は刃物により切り刻まれ、

おまけに体のあちこちをくすぐられた。


「や、やめ・・・ひゃんっ、そこは、ダメだ、あっ・・・」


この沼地はよく見れば濁ったように見せかけた、ローション沼だった。

ぬるぬるとした感触の中で体中をまさぐられ、反田達は不意に声をあげた。


「あぁっ、そこはダメ・・・やめ・・・」


まるで強姦に襲われた際に許しを請う女子のような反応は、

彼らにとって強い屈辱だった。

しかしこればかりは意識して抑えられるものでも無く、

反田達はその状態でしばらく弄ばれ続けた。


やがて気が済んだのか、くすぐりは終わった。

息も絶え絶えな中、反田達は裸のまま沼を出た。

体にまとわり付くローションが恨めしい。

どこかに池は無いのか、着るものよりもまず反田達は水場を探した。


「少尉、あそこに池があります!!」


「よし、全員全速力で向かうぞ!!」


しかし、ローションによりぬるぬるになった体での全力疾走は簡単に滑り、

情けなく倒れ込んでいる所を敵兵達に囲まれた。

そして呆気無く手錠で拘束されて、裸のまま晒し者にされる。

しかし、まぁ仕方ない。それにここにいるのは同じ軍人だ。

裸くらい、風呂場で毎日見られ合っている仲だ。


しかし敵国役の兵士達は反田達に目隠しをし、

そのまま車に乗せてどこかへ向けて走った。


(おいおい、嘘だろ。どこまで本格的なシミュレーションだよ)


そしてある場所に到着した後、反田達は拘束されて晒される。


(ここは、どこだ?人の声が聞こえる・・・)


目隠しが外されるとそこは、演習場の近くの女子高前だった。


(!?・・おいおい、コレはさすがに・・・やめてくれ!!)


生徒達は反田達の存在に気付くとすぐに悲鳴を上げ、逃げて行く。


(ち、違うんだ、コレは無理矢理・・くそ、口にも猿轡されている!!)


そこへ、紗土香の友人の [板目 つける] がやって来た。


「あらら~、女の子達の前でこんな汚いモノを晒して、

 一体何がしたいのかな~?

 守りたいのは国じゃなくて、自分の性癖かな?」


(コイツ、好き放題言いやがって!!

 そうか、コイツも上層部の仲間か・・・!!)


「さて、そんな皆さんに朗報です。

 何とこの強化版スタンガンを10回喰らうだけで、

 この場から則撤退出来ますよ。やりたい人~?」


本来であればそんな無茶苦茶な条件、呑むわけが無い。

しかし今回はこれを呑む以外に選択肢が無かった。


猿轡をされて言葉による意思表示が出来ない反田達は、

体を不格好にクネクネとクネらせて、肯定の合図を出した。


「え~、わかんないなぁ。

 それ、嫌がってるのかな?

 それとも、されたがってるのかな?」


板目が一人の隊員の猿轡を少し口から伸ばして喋れるようにする。


「し、して下さい!!スタンガン・・・10回、

 耐えますからやって下さい!!」


板目がニヤリと微笑み、そのまま伸ばした猿轡をパッと放す。

猿轡がパチンッ!と隊員の口元に叩きつけられる。

隊員の体がビクッと反応する。それを見て、板目が嘲笑う。


「アッハッハ、そうまでしてスタンガン当てられたいんだぁ?

 どこに?ねぇ、どこかな~、皮膚の弱い所が良いよね?

 こことか?」


板目が無作為に近くにいた隊員の耳にスタンガンを当てる。


「mをえgj!!」


隊員は猿轡をしたまま、身体がビクッと反応する。

そのあまりの衝撃に、身体が震える。


「あら、一発目でもう怖くなっちゃった?

 ねぇあんた達、レジスタンス作ったんじゃないの?

 上層部と繋がってるアタシの事、懲らしめたくないの?」


(・・・!!クソ、好き放題言いやがって、拘束さえされていなければ!)


板目は反田に近づき、そのまま容赦無くとある場所にスタンガンを当てた。


その時間、僅か2秒。


(!!!!!!!グ・・・あ・・・・っ!!!!!!)


しかし反田にとっては5分間のように感じられた。

そしてその2秒のスタンガン通電後、反田は一切の抵抗の意思を無くした。


(無理だ・・・こんなの、勝てるわけが無い・・・。

 それに何だこの女は、まるで玩具を壊す子供のように、

 俺達を扱っている・・・。こんな無邪気な存在に、

 俺達が敵うはずが無かったんだ・・・。)


反田は意気消沈し、もう好きにしてくれといった体で、

無抵抗になってしまった。

他の隊員達は反田のその姿を見て絶望に暮れた。

少尉がアレでは、我々ももう助からない、と。

日が暮れてから反田達は車に乗せられて、駐屯地に返された。



見事に短時間でレジスタンスの戦意を削いだ板目は思った。

一般的に我慢強いと思われている軍のレジスタンスですらこの有り様だ。

自分達にはもはや敵は無い、ただこのまま全人類ドM化計画は滞りなく

その目的を達成するのだと。


その日以来、軍の演習メニューの中には

『敵国兵士の辱め』という項目が書き加えられた。


レジスタンス、しかもその中でも有力なものだと思われた軍部のそれすら、

簡単にドMに堕とされてしまった。


次は全人類ドM化計画が社会に与えた影響について、見て行こうと思う。

あなたはまだ、ドMに堕とされてはいないだろうか。

いや、もし堕ちてしまったのならそれはそれで構わない。

何故なら、ドMになる事こそが人の幸福の一つの形なのだから。

早いもので、ものの数時間でもう4話です。

基本的にはディストピア方向なので人類側がピンチな状況が続きますが、

この作品、何かに似ていると思いませんか?

そう、あなたの目の前にある現実です(笑)

実はコレ、単なるフェチものやSFではなくて、現実にもうすぐ起こり得る、

もしくは既に起こっている事を書いているんです。恐ろしいですね。

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