#14~革命者と死神ハデス
人々が、社会が、世界が、ドMに堕ちて行く。
そしてそれは知らずのうちに進行し、気付けばドMが日常である。
スマホやPCからは常に監視され、国からは税金を取られ、
ルールを逸脱すれば捕まり、時間にも縛られる。
人々は元々従属的な性質は持っていたものの、
今回の全人類ドM化計画により完全に牙を抜かれつつあった。
管理支配される事に疑問は持たず、自らの頭では考えない。
こうしてドM化社会は完成するかに思われた。
しかし時代の転換点では必ず、反力が作用する。
急速にあるベクトルに進めようとすると、反発が起こるのだ。
そしてその象徴こそが『革命者』の存在であった。
彼ら彼女らは、社会のルールを逸脱し、管理を良しとしない。
たとえ貧しくとも自己を明け渡さず、己を信じ続けた。
革命者とは決して一人では無い。
紗土香達、支配管理側が急速に力を付けるほどにその数も増える。
そして彼らはやがてこの世界の在り方に疑問を投げかけ、
既にM化した人々の目を覚まさせる啓蒙活動を行う。
それは街頭デモであったり、動画配信であったり、
地道で小まめな草の根の活動等である。
こうした革命者達の存在は支配管理側には大変厄介な存在である。
彼らが一定数、社会に世直しの風を吹き続けさせる事により、
自分達の支配はいつまで経っても終わらないからだ。
しかし、そんな革命者達を黙らせる存在があった。
それこそが、【死神】である。
長い赤髪に大きな鎌を持った死神ハデス━━
彼女が現れるだけで世界は一瞬、時を止める。
周囲の音は消え、空気が静まる。
それに気付いた者がいた。
革命者の一人、翌房 零23歳。
そして彼は今まさに、死神と対峙していた。
ハデス
「あら貴方、 [革命者] ね?
世界がドM化の流れの中で増え続けている、必然的反乱因子。
だけど、ちょっと増え過ぎているのよ、貴方達。
私は世界のバランスを司る者。
あまり殖え過ぎればまた世界を元に戻してしまう。
だけど大いなる流れはドM化を選んだ。
だから、増え過ぎた貴方達は減らさなければならないの。
外来動物種の駆除のような意味合いよ、わかるでしょう?」
翌房
「な、何なんだお前は。
ドM化なんておかしいだろ!
人は元来自由で、誰かに依存して生きたり、
自分のプライドをボロボロにされてもしがみ付くなんて、
そんなのおかしいだろ!目を覚ませよ!!」
ハデス
「本当、厄介ね。こういった存在が殖えると、時代に停滞を生む。
良いわ、始末してあげる。」
そう言ってハデスは翌房の首筋に鎌をかけた。
ハデス
「さよなら、坊や。
次に生まれ変わる時はもう世の中は大ドM時代よ。
正しい生き物として生まれなさい。じゃあね。」
ハデスは鎌をスッと引いた。
するといとも簡単に翌房の首が落ちる。
あらゆる支配・管理が通用しない革命者達を唯一消し得る存在、
それがこの死神なのである。
人はどこまで行っても【死】という概念からは逃れられない。
そしてそれはどれだけ自分がSであると主張しても、
死という運命から見れば従順に従うだけのドMなのである。
ハデス
「ようやく人類は、自分達が本質的はドMであるという事に
気付く時代が来たのね。」
そしてこの様子を、紗土香の友人でギャルの板目 つけるが見ていた。
板目
「あら~、アンタ凄いねぇ。
アタシらじゃあ管理も支配も叶わない革命者をものの見事に一刀両断!
ねぇ、アタシ達の仲間になってよ。
本当あの、革命者ってヤツらが邪魔なんだよね~。」
ハデス
「私はあくまで殖え過ぎた分を間引くだけ。
全滅までさせるつもりは無い。」
板目
「それで良いよ~、アンタもどっちかって言うと支配側の存在でしょ?
似たような境遇の者同士、仲良くしようよ。
革命者の情報についてはアタシらも追ってるからさ、
殖え過ぎたなーって時には情報提供するからさ。どう?」
ハデス
「情報提供頂けるのは助かるわね。
それなら、仲間になるのも悪くない、かしら。」
板目
「おっけー、そうと決まれば善は急げ、コッチおいでよ!」
板目はハデスを紗土香達に紹介する為、アジトへと引き連れた。
紗土香
「へぇ、死神か。面白いですわね、大手柄よ、板目さん。
今夜は抱いて差し上げてもよろしくてよ。」
板目
「紗土香様!
アタシ、つける頑張りました!!
今夜はヒシと抱きしめて、寝かせないで下さいね!!」
四拝
「まったく、まぁ死神を仲間に引き入れたのは良いが、
また一段と部屋がメス臭くなるな。何か香料でも焚くか?
メスがメスのフェロモンを嗅いでも意味が無いだろう。」
紗土香
「あら、死神と言うのは案外、四拝さんと相性が良いと思いますわよ?
世界のバランス調整としての役割と言う事は、AIであり、
論理的に動くアナタとシンパシーがあるように感じますわよ。」
四拝
「まぁ何にせよ、革命者達への対抗手段を得た事は素晴らしい事だ。
これでもう、計画の邪魔者はいなくなる・・・だと良いがな。」
四拝の含みを持たせた言い方に、紗土香が切り返す。
紗土香
「死神はあくまで殖え過ぎた分を調節するだけ。
つまりは最後の仕上げはやはり私達で何とかしないと。」
四拝
「そうだな。
ヤツらはせっかくドM化させた人々を再度目を醒まさせるからな。
駆除・捕獲・調教、あらゆる手立てを使い、計画を遂行すべきだ。
人類に対して遅れを取りたくないのならな。」
その時、部屋の扉が乱暴に開かれた。
そこにはダークエルフのディアドロと、一人の男性が捕らえられていた。
ディアドロ
「見つけて来たぜ、コイツ [革命者] だ。
人々の列に並ばずにそれを外から眺めていたから、すぐにわかったんだ。
さぁ、どうする?
アタシの人間に対する恨みを晴らす為の玩具にして良いか?」
四拝
「ディアドロ、よくやったな。
革命者には暴力の類は効かんぞ。
本当に厄介な存在なんだ。運命から保護されていると言うな。
だが、『死』と言う仕組みからは逃れられん。
ハデス、処分を願えるか?」
ディアドロ
「え?力が通じないって、そんな事あるわけ・・・。
オラ、どうせ死ぬんなら、コレを受けて見ろ!!」
ディアドロは強烈なパンチを繰り出し、革命者はそれを受けて
軽く呻きはしたものの、思った以上にダメージは与えられなかった。
四拝
「オイ、ディアドロ、やめておけ。
支配管理側がいたずらに弾圧する事を防ぐために施された仕組みなんだ。
下手に抗えばお前が消されかねんぞ。
そんな事をせずとも、せっかく死神がいるんだ。
その力を見せてもらおうじゃないか。」
ディアドロ
「あ~あ、仕方ないな。一般人で我慢するかな。
せっかく革命者捕まえたのに、手柄を横取りされた気分だよ。」
ハデス
「それでは、殖え過ぎた革命者の間引き処分を行いますね。
貴方、何か言い残す事は?」
唯権 零成21歳
「無い。もう一思いに、殺せ。」
板目
「へぇ、そこら辺のドMどもとは、覚悟が違うんだね♪」
ハデス
「そうか。まぁ私も一応神だからな。
来世は、立派なMとして生まれて生きろ。じゃあな。」
ハデスは唯権の背後から大きく鎌を振り下ろした。
部屋に大きな刃物と人体の衝突音が響き、見事に首が切り落とされる。
板目
「うっへぇ~、エグw」
リリス
「せっかくだから、性エネルギーを吸い取ってからでも良かったのに。」
━━人々の最後の希望である、革命者達。
しかし支配管理側は、それにすら対抗する術を持ち得てしまった。
果たして人類に対抗し得る術はあるのだろうか。
それとももう、ドM化という時代の流れに素直に従い、
作られた平和の中で過ごす事こそが真の平和となるのだろうか。
また一つ人類の希望の光は消え、代わりに支配という灯りが
怪しげな光を放っていたのであった。
今回やっと、少しだけ出た革命者。
本当はコチラ側、人類の大きな希望としての存在を書かなくちゃなんだけど、
つい楽しいから支配管理側を書いちゃう、増やしちゃう(笑)
だって皆、美女がドンドン増えるの好きだよね~?




