表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】悪役令嬢(!?)の鑑なんてごめんです! だから殿下、ついて来ちゃダメです。  作者: 氷雨そら
破滅なんてゆるしません。だから殿下、一緒に抗ってください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/105

96 聖女の魔力と竜の卵



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 アイシラが、一人で暗い場所にいる。

 閉じ込められているのか、足には鎖がジャラジャラとついている。

 ずいぶんと憔悴しているようだ、その両手から放たれている光魔法が点滅して、どこか弱弱しい。


「――――どうして、こんなことを」


 アイシラの息遣いは、全力疾走した後みたいに苦しそうだ。

 アイシラが抱きしめているのは、大きな白い卵。

 その大きさから、ある一定以上の大きさの生き物の卵なことが分かる。


 卵からは、黒い煙のような魔力が立ち上っていて、それをアイシラが抑え込もうとしているようだった。


「聖女様? そうですね。あなたの力で、もう少し時間稼ぎをしてください。まだ、準備が整っていない。あの目障りな王子とご令嬢を始末することが出来ていないので」


「あなた、いったい何をしようとしているの」


 小説と台詞はずいぶん変わってしまっている。でも、話の流れは、シナリオ通りだ。

 災厄の予兆をつかんで、聖女として王立騎士団とともに調査に乗り出したアイシラは、古びた研究所を発見する。その場所に現れた魔法陣で、ほかの場所に転移させられてしまうのだ。


 おそらく、消息を絶った場所に、魔法陣の痕跡が残っているはず。


「さあ? その時まで、生き延びていられれば、見ることが出来るでしょう。世界の終わりと魔術の深淵を。そして偉大な竜の魔力を。頑張って、その竜の卵……もう少し持たせてください? あなたの魔力が持つ間は、時間が稼げますよ?」


「く……」


 事実、アイシラが光魔法を使っている間だけ、竜の卵にひびが入っていくのは止まる。そして、黒い魔力も治まるようだった。でも、それも時間の問題だろう。いくら、アイシラが聖女だと言っても、魔力には限界がある。


「――――ここにいた。アイシラ」


 その時、赤い髪の青年が風のように走りこんで来た。

 それは、物語の通りの展開。そして、違うのは彼がすでにS級冒険者で、正体も隠していないということだけだ。


「カトル」


 アイシラの前には、物語の通り冒険者として活動していたカトルが立っている。

 それは、とても頼もしいと同時に、物語の強制力を感じさせるものだった。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



「カトル……」


 揺れている馬の上で、よく眠れたものだと自分でも思う。

 でも、闇魔法の力なのか、母であるリリーベルから受け継いだ力なのか、たぶん今見たのは、ほんの少し過去の出来事なのだろう。


 ――――小説と同じ展開。どれだけ、変えようとしても、災厄の足音はすぐ近くに迫っている。


「―――ルル」


「アレス殿下……」


「夢を見たの? どんな夢」


「アイシラが、カトルと合流しました。竜の卵が黒い魔力に覆われていて、今にも割れそうになっているのを、アイシラが必死に抑え込んでいます」


「――――そう、良かった」


 アレス殿下が、穏やかに笑った気配がする。

 そう、二人のことを信頼しないでどうするのだろう。仲間を信じられなければ、前に進めない。


「そうですよね。カトルもアイシラも頼もしいです」


「うん、寝言で、カトルの名前なんて呼ぶから、これからの行動について真剣に考えてしまったよ。本当に、過去の夢を見ていただけでよかった」


「え?」


 なんだか、怒っているような気がするのは、気のせいだと思いたい。

 だって、カトルとアイシラがピンチだったのだ。名前くらい呼ぶよね? そうだよね?


「うん、わかってるから」


 基本的には公平で、心の広いアレス様。

 どうして、時々急にこんなに心が狭くなるのだろう。

 未だにそのスイッチが理解できない私が悪いのだろうか……。


「本当は、二人一緒に転移魔法で移動できると良いんだけど。いや、ルルがカトルのことをこれ以上考えるくらいなら、転移してしまったほうが……」


「二人を信じましょう!」


 慌てて私は、アレス殿下の背中に力強く抱き着く。

 転移の感覚が、絶叫系アトラクションだから拒否しているのではないのだ。

 ただ、アレス殿下のことが心配だからなのだ。


「そういうことに、しておこうか」


 アレス殿下は馬を走らせ続ける。

 私のひやひやの心境なんて、多分知らないで。

最後までご覧いただきありがとうございます。

『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] カトルがピンチ!アレス様の穏やかさが逆にキケンです(^◇^;) ルルは寝言禁止かな笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ