表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】悪役令嬢(!?)の鑑なんてごめんです! だから殿下、ついて来ちゃダメです。  作者: 氷雨そら
破滅なんてゆるしません。だから殿下、一緒に抗ってください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/105

91 侯爵家当主

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 軽快な足取りとは正反対に、内心は穏やかではない。そのまま、気合を入れて扉を開くと、そこにはアレス殿下、シーク先生、レイド学園長、父が深刻な表情で話し合っていた。


 セラフのそばで、長い耳をウェーブがかった髪と、認識阻害魔法で隠したレティが、「えっ、ちょっ、こんな機密事項、私の前で話さないでぇ」と、言わんばかりの表情で、所在なさげにしている。


 ドアを開けた瞬間、全員の視線がこちらを向く。

 フェイは、その視線の隙間をくぐり抜けるように、セラフの元に近づいて、同じように伏せた。


 シーンと、音が聞こえそうな室内。

 何か、話しかけて欲しい。


「ふぅ。……ルル」


 アレス殿下に、手招きされる。

 誘われるようにそばに行けば、冷たい手で腕を掴まれて、グイッと引き寄せられた。


「あっ、あの……」


「リベラは、無事にシュルツ侯爵令嬢を捕まえられた?」


 フェイが出した黒い糸に捕獲されたレイチェル様。確かに、捕まえられたという表現がぴったりに思える。


「は、はい!」


「そう……。それは良かった。今後の動きに、彼女の協力は、必須だ」


 アレス殿下は、寄せていた眉を緩めて、軽い安堵の表情を滲ませた。


「レイチェル様の?」


「ああ、長い間魔術師ギルドは、シュルツ侯爵家の影響が強かった。シュルツ侯爵家が、潰れてしまっては、困るんだよ」


 パラリと何気ない紙切れのように、テーブルの上に置かれた紙。食い入るように見てしまったとしても、当然のことだろう。


 まず、目に入ったのは、陛下直筆のサイン。

 既にこの時点で、ただ事ではない。


「シュルツ侯爵家当主を、本日よりレイド・シュルツとする」


 レイチェル様と同じ翠の瞳。

 シルバーグレイの、落ち着いた印象を与える髪。


「学園長が、シュルツ侯爵の弟ということは、聞いていましたが」


「今日から彼が、シュルツ侯爵だよ」


 大したことのない、日常の知らせを告げるくらいの軽さで、アレス殿下がその言葉を口にする。


「シュルツ侯爵家が王都の屋敷を半壊させ、騒ぎを起こした責任は、前シュルツ侯爵と、長男のデイルクに取ってもらうつもりだから」


 半壊というより、全壊でしたし、直接的な原因は。


「……レイチェル嬢の二人の姉は、隣国の王子にそれぞれ嫁いでいる。シュルツ侯爵家の力を完全に削いでしまっては、隣国との関係が崩れてしまう」


 アレス殿下の言うことは、最もだ。


「……あの、リベラ殿下は、その事を」


「もちろん。シュルツ侯爵家が、きな臭いと気がついてから、何度も二人で検討している」


 ……アレス殿下とリベラ殿下が述べた理由には、一理ある。でも、たぶんレイチェル様を切り捨てる方が、道は平坦だろう。


 それを選ばないことは、確かにフェイの言う通り、災厄を防ぐ道を険しくするのかもしれない。


「ルルーシア」


「アレス殿下?」


「言ってみて、ルルの願いを。ルルは、レイチェル嬢をどうして欲しい?」


 そんなの答えは、決まっていた。

 たくさんのものを天秤にかけては、選び続けなければいけないのだとすれば。


 心の奥底、大事な場所に仕舞い込まれた天秤は、揺らぐこともなく傾いた。


「レイチェル様を助けたい」


「ルル、俺も同じ意見だ」


 たぶん渦中に巻き込まれる学園長をチラリと見る。


「貴族社会は好きではないが……。まあ、この際、王国をこの学園のようにしてしまうのも悪くない」


 壮大なスケールだとは思う。

 でも、私はそんな世の中が、現実に存在することも知っているのだから。




最後までご覧いただきありがとうございました。


『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ