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【電子書籍化】悪役令嬢(!?)の鑑なんてごめんです! だから殿下、ついて来ちゃダメです。  作者: 氷雨そら
破滅なんてゆるしません。だから殿下、一緒に抗ってください。

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67 モフモフと陽だまり。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 フェイは、その姿のままでも、私からの闇の魔力を全部預かって、生活できるようになったらしい。


 全部、闇の魔力を持っていかれているにも関わらず、竜を倒したおかげで手に入れた、竜の魔力のせいなのか、体調はすこぶる良い。


 ソファーは、隣にいるモフモフの触感とともに、日が当たり、幸せをカタチにしたような空間になっている。


「それにしても……」


「キュウウゥ!」


 フェイと竜の子どもは、神話時代の因縁なんてなかったかのように、仲が良い。


「こらっ、貴様! 偉大な精霊の頭の上に乗るとは何事だ!」


「キュイッ?」


 ――――普通の感覚だったら、長年愛する人と自分を引き裂いた竜のこと、憎くならない?


「ねぇ、セラフはフェイのどこを好きになったの?」


「はっ? どこが好きって…………」


 ソファーに丸まったまま、セラフはしばらく、無邪気に走り回るフェイを見つめていた。


「…………特に突出したものはないわね? なぜ、好きなのかしら」


 クルクルと子竜と走り回るフェイが、チラリとこちらを見た気がした。確実に、こちらが気になっている。


「…………そうね。でも、あんな風に、ずっと敵だと思っていた竜と、仲良く過ごすなんて、私にはできないわ。ああやって過ごしているのを見せつけられるから、許してしまいそうになるだけで」


 ノソノソと、子竜を頭に乗せたままのフェイが近づいて来る。


「こいつは、アイツらとは違う個体だ。魂も違うし、俺たちの敵ではない」


「…………そういうところだわ」


 なるほど、そういうところを愛しているのですね! 私は思わず、ニヨニヨとしてしまう。


「違うから! あんまり、私のことが好きだって縋るから、仕方なくっ!」


「素直じゃないな……。まあ、そんなところも含めて、俺はセラフのことを可愛く思うのだが?」


「はっ?! なっ、なななな、何言って」


「一緒にいられる幸せを、噛み締めているんだが、セラフは違うのか?」


 そういえば、セラフも人型になることができるのだろうか?


 金の髪をした可愛い系のツンデレ美女が、真っ赤になってぷるぷる震えている幻影が見えた気がした。私としては、ぜひツインテールでお願いしたい。


「ちっ、ちっ、違わないわよ!」


 明後日の方を向きながらも、返す言葉はあまりにも可愛らしく。


 あー、ツンデレ尊い。


 きっと、フェイは本当に、セラフのこんなに可愛いところも含めて、大好きに違いない。


「おい、その顔やめろ」


「えぇ? 何のこと?」


「普段俺が、アレスとお前の雰囲気にどれだけ耐えていたと思っている」


 ああ、確かに剣の姿をして、いつも一緒にいたフェイには、あんな台詞とかこんな台詞とか、全部聞かれていたってことなのね。


「あ、ほら。俺を苦しめてきた犯人が来たぞ」


 日差しが降り注ぐたびに、キラキラと煌めく髪を揺らして、こちらに微笑みかけるアレス殿下。


 口を開けば、どんな言葉が飛び出すかなんて、想像するだけで赤面しそうだ。


「俺もそこに、座りたい」


「どっ、どうぞ?」


 ため息をついたセラフが、トトッとフェイのそばに近づき、その体に擦り寄る。

 二匹と一匹は、陽だまりの中、丸まってお昼寝をすることにしたらしい。


「…………結婚したら、毎日こうして過ごしたいな」


「それも、良いですね」


 きっとアレス殿下は、忙しすぎて、毎日は難しいと思うけれど。


「王太子妃ともなれば、結婚式も盛大にせざるを得ないし、まだまだ準備に時間がかかるなんて……。待ちきれない」


 確かに、王太子の結婚式となれば、国の一大行事だ。多分それは、災厄が落ち着いてからになるのだろう。


「結婚しなくても、膝枕くらいならしてあげますよ」


「そう? 夢みたいだ」


 アレス殿下は、疲れていたのだろう。

 ウトウトと微睡みはじめた。


 キラキラ輝く、陽だまりの中の細い髪をそっと撫でながら、私も幸せを噛み締めた。


最後までご覧いただきありがとうございます。


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