44 運命の再会と二匹のもふもふ。
魔力が失われる不快感。それでも普段からフェイに魔力を預かってもらい、魔力枯渇に慣れた私には、耐えることができる範囲だ。
――――大丈夫。フェイの我儘なんて初めてだもの。叶えてみせるから。
お腹を出して、美味しいおやつをねだったり、一番日当たりのいい部屋をご所望だったり、可愛い我儘はあっても、フェイが、本気の願いをすることはなかった。
光の魔力は眩しすぎて、視界は、はっきりしないけれど、魔力の源に向けて進んでいく。
ひときわ眩しい光が、辺りを包み込む。
瞳に焼き付いてしまいそうなほど眩しいのに、アレス殿下の魔力の波長なせいか、不思議なことに不快感はない。
光のトンネルを抜ければ、そこには、満天の星が瞬いていた。
そこにいるのは、まるで、光とその影みたいな、淡い金色と真っ黒な二匹の大きな犬だ。
その二匹は、まるでひさしぶりに再会した、運命の番みたいに体を寄せ合って……。
「勝手に、全部決めて! バカァ!!」
感動の再会。その直後、黒いもふもふが、星空高く吹き飛ばされていった。
あの大きな体が、あんな風に飛ぶなんて。
あれ? フェイって、擦り寄ってきた時も、ちゃんと重さがあったよね?
場違いな感想しか浮かばずに、吹き飛ばされたフェイが、そのまま地面に落ちていく姿を見るくらいしか出来ない。
それでも、地面に倒れ込んだフェイに、美しい淡い金色の犬はもう一度擦り寄った。
「まさか、もう一度会えるなんて」
「俺は、いつか会うために努力したが、お前は違うのか?」
「……会えると思っていたわ。だから、長い年月も耐えられたし、アレスに力を貸してあげたの」
「ああ、そうだな。だから俺も、ルルーシアに力を貸した」
チラリとフェイが、こちらを見た瞬間、急激な眩暈と吐き気に、堪えきれず私は膝をついた。
「時間切れか。すまなかった、ルルーシア」
そう言ったフェイがいた場所に、カランと黒い剣が、落ちて地面でクルクル回る。
フェイが剣になったことで、私の魔力の流出が止まった途端、アレス殿下が走り寄ってきた。
「……光の精霊を召喚出来たんですね。前回より、かなり早いんじゃないですか? 大丈夫ですか? 無理しすぎですよ」
「……ルルを守りたい一心だ。ルルこそ、俺に無茶だって言えないくらい、無茶ばっかりするくせに」
冷え切った体のまま、ぎゅうっと抱きしめてきたアレス殿下。
そのまま私たちは、バランスを崩して倒れ込んだ。
アレス殿下が、咄嗟に自分を下敷きにしたせいで、私は全く痛くなかったけれど。
「さあ、二人とも、屋敷に入るように。ルルちゃんに抱きつく元気があるんだ。アレスは歩けるな?」
「もちろんです」
ふらふらと、立ち上がったアレス殿下。
そのおぼつかない足元を見ながら、私は父に抱き抱えられる。
「ふん……」
そう言いながら、父が密かに回復魔法をアレス殿下に掛けていたことには、気がつかないふりをすることにした。
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