14 三階から入ってくるのはやめませんか。
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朝になると、制服に着替えて手早く身なりを整える。
ドレスを着るとなると、それなりの髪型やアクセサリー、メイクが必要になるし、着付けも一人では難しい。
でも、制服なら一人で準備することができる。庶民としての意識が未だに高い私にとっては、とても快適だ。
侍女のローリエが少し残念そうにしていたけれど、制服に似合う範囲で髪の毛を編み込んでもらうことをお願いしたら笑顔になった。
登校すると、すでに殿下が私の隣の席で本を読んでいた。
「おはようございます。早いですね? アレス殿下」
「おはよう。……制服似合っているね。髪型も可愛い。ルルーシア」
――――殿下こそ、小説の中から抜け出してきたのかと思うくらい、制服が似合っています。でも、そんなこと言ったら、リア充婚約者みたいだから言ったりしないけど。
「アレス殿下も、制服似合ってます」
「っ……ありがとう」
私は、そっけない風を装って殿下にそう告げるにとどめた。
それにしても、なぜかカトルが来ていないのが気になった。
もう、始業のベルが鳴ってしまうのだけれど?
ベルが鳴り始めると同時に、なぜか窓からカトルが入ってくる。
ここ三階なんですけど?
「ふう。間に合ったな。おはよう、アレス、ルルーシア」
さわやかな笑顔につられて私も「おはよう」と答える。でも、言いたいのはそこじゃない。なぜ、窓から入ってきたんですか? という言葉だ。
殿下は気にしていないのか、「おはようカトル」と笑顔であいさつすると本を再び読み始めた。
――魔界の王と天上の女神が織りなす魔法
そして、何より気になってしまうのが、殿下が真剣に読んでいる本の題名だった。
うーん、随分とあれな感じの本を読んでますね?
まあ、殿下はしっかりしているようでもまだ七歳。そういうお年頃なのかもしれませんね。
シーク先生が入ってきたので、私は意識をそちらに向ける。
冒険者クラスには、私たちのせいかもしれないけれど一流の講師陣が揃っている。
礼儀作法や王国史の授業についても出なくてはいけないため、冒険者クラスすべての授業には参加できない。私と殿下は、基礎魔術と算術や語学については修めているためその分をほかの科目に当てることにしている。
基礎魔術については、教科書で勉強したけれど、魔法の成り立ちなど小説で出てきたことがほとんどだったから、問題はないだろう。
それよりも、早く魔術研究とか実戦魔術が勉強したい。
「さ、行こうか」
自然と女性をエスコートする七歳児。先ほど読んでいた本とのギャップがすごい。
そして、そのエスコートを自然と受ける私の体。
記憶はないのに、どうしてこんなに自然に、エスコートされるように体が動くのか。謎しかない。
そういえば、殿下は今日も笑顔だけれど、光魔法と闇魔法は打ち消し合ってしまうということ、知っているのかしら?
たぶん知っていても、表には出さないんだろうな……。
それが、王族というものなのかもしれないけれど、そのことを私は少しだけ残念に思った。
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