13 攻略してくる王子と絆されない予定の令嬢。
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気がつくと自室で眠っていた。ゆらゆらと父が運んでくれる心地よさを感じていたけれど、あれは夢ではなかったようだ。
「フェイ?」
フェイの定位置はソファーの上だ。そこでいつも寝ているフェイが、「やっと起きたか」とこちらにのそのそ寄ってくる。
疲れて眠ってしまったみたいだ。今はもう日が傾いている。3時間くらい眠っていたのだろうか。今まで見たいに、心の奥底に重しみたいなものを感じないのは、きっと父が受け入れてくれたからに違いない。
「ねぇ……」
「なんだ」
「聞いてもいいことなのかな? フェイは何で」
「お前が後悔しないなら答えてやる」
私が聞きたいことをフェイはすでに分かっている。
わかっていて答えている。
なぜ、フェイはアレス殿下が来るとどこかに行ってしまうの?
「後悔するなら聞かないでおけ。聞いたらルルーシアは選ばなくてはいけなくなる」
「そう……なんだね」
小説の中で、アレス殿下がどうなったのか。いったいなぜ婚約破棄に至ったのか。
アレス殿下とは、円満婚約解消予定だ。
それでいいのなら、聞いたって変わりないし後悔することもない。
だから、フェイが後悔するなら聞くなってことは……。でも、アレス殿下は多分もう知っている。知っているからあんなに必死だった。そして、それでも私の横に並んで座った。
――――それなら答えは決まっている。私だけ知らずに、ぬくぬくと幸せに過ごすなんて性に合わない。苦しむのだとしても、一緒に戦うのが私の……。
「うん! 迷うの嫌い! フェイは何で殿下が来ると、どこかに消えちゃうの?」
「――――そうか。そっちを選ぶのか。わかった……。第一王子の魔法は光属性だ。光魔法は闇魔法を打ち消してしまうから、俺はあの王子を避けている」
「殿下は……フェイに攻撃したりしないと思うよ?」
「それなんだよ。関係ないんだ。害意があるかないかは」
そっか……。そう言えば、殿下の得意魔法は光魔法だった。
そんな簡単なこと、どうして思い至らなかったのだろう。そうだ、転移魔法さえ使いこなす、第一王子アレスの属性は、風と光だ。
そして、殿下は婚約破棄の直前に光の精霊を召喚する。そして、悪役令嬢ルルーシアは、婚約破棄を告げられる。
ズキンと胸が痛んだ。
それでも、殿下は私と一緒にいようと言ってくれた。
そして、もしかしたら小説の中の殿下も、光の精霊を召喚する直前まで悪役令嬢ルルーシアと一緒にいる方法を探していたんじゃないか。ふと、そんな気がした。
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