969:return to Headquarter
戻ってきた!(誰も居ない)
何故わかったと言わんばかりに目を丸くするタヌキ。
「私の両眼は全てを見抜く!」
「ちっ、精霊眼持ちか」
違います。エルフアイは看破力なんですよ。まあなんでもいいけど。それでタヌキが納得して退いてくれるならそれはそれでいいよ。
「誤魔化すことも出来ねえってか。ほらよ」
タヌキはその書類を投げて寄こした。内容は……確かに熊井建設の社印が押されている。なるほど、よくできた案だ。善し悪しとかは分からないけどそういう事にしておこう。
「じゃあ貰っていくわね。あんたも来る?」
扇風機の様に首を横に振るタヌキ。よし、じゃあぶるとっぴんで帰りましょう。急がないとね。そのまま私は火の精霊さんと風の精霊さんに活躍してもらって戻ってきた。直線距離だと速いよね。
本社ビルに着いて入口を入ると受付のお姉さんに止められた。
「いや、ちょっと支店の方から戻ってきただけですので」
揉めてるとおばはんがやって来た。私に帰れと言う。横暴か!
「あなた、どこの支店か分かりませんが、きちんとした格好でもないのに皆様方に姿を晒すつもりですか?」
私の姿は木の枝とか葉っぱとかつきまくりの様子。そりゃ直線距離だとそうなるよね。
「すいません。ですが急いでるんです。役員会に行かないと」
「まあ、役員会ですって?! やあね。そんな格好の人を通してたまるもんですか! それに役員会はもう終わってます!」
時間的には一時間くらいのものだが、皆様お忙しい様で解散したとの事。さすがに待ってはくれんか。まあ一週間って約束したもんね。
「分かりました。今日のところは帰ります。えーと、うちの支店の副支店長……副原さんは」
「副原副支店長も帰られましたよ」
あるぇ? 待っててくれなかったか。睦月さんも帰ったのね。くそう、そういう事なら一週間待つしかないじゃない。出直します。厚化粧のおばはん、大変失礼しました。
支店に帰ると副支店長と睦月さんが待ってた。なんで本店で待っててくれなかったんですか?
「一週間って言ってたからね。あまり長居する訳にもいかんでしょう。その代わりこっちの支店で待っとくつもりでしたよ」
いや、待っとくつもりってまだみんな居ますよね? 私らテラーでさえ帰ってない時間ですよ?
さっき久しぶりって先輩にわしゃわしゃされて無事だった髪の毛がぐちゃぐちゃにされました。あれで先輩に悪気がないから抵抗しづらいんですよね。
それはともかくと中に入って会議室に三人で座る。お茶は……先輩か萌ちゃんに頼もうかと思ったんだけど、忙しそうだからそっとしとこうと副支店長が缶コーヒー買ってくれました。
「これが例のブツです」
「本当にあったのかね? どれ……」
副支店長が一生懸命資料を読んでる。
「なるほど。確かにあの頃の資料だね。よく残ってたと思うよ」
「ええ、私もびっくりでした」
どうせあるだろうと思ってつっこんだのは秘密。無くても不思議じゃないよね。こういう帳票類って七年保存が義務だもんね。考え無しだったけど結果オーライ。
「一週間後ですが、今日も来ていた金融庁の方に来てもらえることになりましたなってますから」
「あの人、暇なんですか?」
「そんな訳ないでしょう。私が内調だからそれを踏まえて接してくれてるだけです」
今度はチームを組んで来るという。ついでにヒアリングとかするつもりらしい。当日は支店長やら黄金沢やらも来るんだとさ。つまりは公開処刑。資料は揃ってんだ。言い逃れできると思うなよ!




