968:葉刃狸の反抗
抵抗虚しく……
葉刃狸。その名の通り葉っぱを刃に変えて攻撃してくる。しかし危ないな。怪我したらどうすんだ。
「怪我というか殺す為にやっとるんだ!」
だが私には、メタルエルフとなった私には通用しない! 協力は土の精霊さん。いつもこういう時に火の精霊さんとか風の精霊さんを優先させてるからたまには使って欲しいと要望出された。前に引きこもり気味だって言ってなかった?
「この程度では通じんか。ならば、これならどうかな?」
何枚もの葉っぱを繋げてひとつの刃と為す。これぞ化け術秘伝、斬撃刃! なのかどうか分からない。勝手に脳内で言ってるだけだから。でもそれくらいの迫力なのは間違いない。
「チェストォ!」
裂帛の気合いと共に刃が振り下ろされる。ってあんた四国出身やないの? とか突っ込んでる暇もなく、蜻蛉の構えから繰り出される二の太刀要らずと言われた斬撃が襲ってくる!
ガキン! いやまあ大丈夫とは思ったけどね。というか形状が刀になった時点で「剣」として認識されるんだもん。レーヴァテインの影響でそんなものは通用しないんだよね。
「バカな……」
狸はびっくりしてる。まあそりゃそうか。今のは必殺技クラスだもんねえ。避けもせずに受けきられるとかガックリくるしかないでしょ。
「通じんと、いうのか? この、私の力が……」
「あのー、そろそろいい?」
「なんだ?」
「鹿児島出身なの?」
「確かに生まれは薩摩じゃ。じゃっどん四国に渡って刑部殿の配下になりもした」
いや、鹿児島弁は何言ってるか分からないから標準語でプリーズ。
「……それで長州に根を張るのに多少詳しい私が名乗りを上げたという訳だ」
「詳しいの?」
「薩長同盟の頃に来たことがある」
ああ、なるほど。詳しい(百五十年前)って事か。
「まあ実際来てみたがそこまで変わっておらんかったな」
まあド田舎って変化に乏しいよね。いやいや、うちの市はそこまでじゃないよ? なんせ村から一気に市になったくらいだからね!
「それでこの田舎で刑部殿のお目覚めを待ち続けて居るという訳だ」
「いやまあ待つのは別に構わないんだけど……それなら卑怯な真似しないで正々堂々と会社運営しなさい!」
「正々堂々など化け狸の沽券に関わる!」
そういうもんなの? 確かにタヌキは化かすの上手いって聞くけど。
「じゃからな……騙し討ちなんかもなんとも思わんのよ!」
あっ、硬質化解けてる今を狙ったか!
「くたばれ! 葉刃刀」
完全な死角からの鋭い斬撃が私を襲って……襲って、砕けた。
「はひ!?」
「ごめんね、斬撃効かないんだ」
思わず刀を取り落としてガクガクと震え上がるタヌキ。いや、まるで私が虐めてるみたいじゃない?
「いい子だから証拠の書類出してくれる?」
こくこくと頷いて金庫から書類を取り出し、私に渡してきた。よしよーし、よく出来ました。さて、これで帰って……いや、相手がタヌキだからな。ちゃんと確認しよう。書類的には問題ないな。うん。これが本物なら。
残念だったな。私の目は化かされないんだよね。金庫から取り出すふりして葉っぱで複製しやがったな。帰る途中に葉っぱに戻る。もしくは向こうで渡したら葉っぱに戻る。なるほど、いいセンスだ。
「騙されるとでも思った? ちゃんと原本差し出しなさい!」




