771:対策会議
管轄違いは厄介ですね。
「私が何者かって? 単なるしがない銀行員だよ」
「またまたぁ、私を眠らせるなんて一般人に出来てたまるもんですかぁ」
めんどくさいなあ……
「喋ってくれないなら力づくで聞き出しますよぉ」
アナスンは黒剣を束ねてひとつの大きな剣……いや、それは剣と呼ぶにはあまりにも大きすぎた。大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた。というかそんなドラゴン殺せそうな代物を良く振るえるな。
「斬れない、突き刺せないなら叩き潰せばいいんですよぉ!」
鉄塊が私を襲う。でもまあやる事は決まってるんだよね。重いなら重いなりに。
「グラビトン」
「!?」
アナスンの腕が動かない。どころか床に剣が埋まってる。しまった。床の強度考えてなかった。鉄塊に耐えれる構造してるわけないじゃん!
「何をしたぁ!?」
「そんなもんで殴られたら痛いだろうから振るえなくしといた」
「バケモノめぇ……」
いやいや、私はバケモノでもなんでもないよ。普通の一般人だよ! って言っても誰も信じてくれないよね。まあハイエルフな事以外は庶民なんだけどな。
「良いですかぁ? 今日は退いてあげますぅ。次は殲滅用の装備でお邪魔しますから、首を洗って待っててくださいねぇ」
アナスンは懐から書物を出すとその書物から紙が、ページが次々と出て来て舞踊り、私たちの視界を塞いだ。紙が収まった時には最早アナスンの姿は……あれ? 向こうの屋根伝って逃げてんのアナスンじゃね?
「あれ、撃ち落とそうか?」
「やめておけ。どうせ死なんしむしろ下におる者が巻き込まれるわ」
「厄介ね」
「ともかく方策を練るか。どうせ近い内にまた来るじゃろうしな」
えー、また来るの? めんどくさいなあ。まあでもハルとついでにロニさんの身の安全が掛かってるんだよなあ。良し、みんなを呼ぶか。
「お姉様、参りましたわ」
「……まだ呼んでないけど?」
「呼べば時を飛んで現れるんですわ!」
「えーと、実は遊びに来る途中だったんですよね」
「まあ、楓ちゃんがそう言うなら」
「扱い酷くないですの?!」
日頃往生だよ、このストーカー。いや、まあもう慣れてんだけど。
「はあ、それで皆さん集まってたんですね」
仕事帰りに葵さんが来て全員集合。ついでに真那さんも来てもらった。やっぱり聖教関係だと必要だよね?
「あらあら、まだ生きてたんですね、あの子」
「真那さん……いえ、ガブリエルさんもご存知ですか」
「ええ、まあ、管轄は違いますが。どっちかと言うとウリ君の管轄ですからね」
ウリ君? 別の天使かな? 後で聞いてみたらウリエルって天使らしい。「神の炎」とか呼ばれてるらしい。何それ怖い。
「ガブリエルさんが止めて何とかならないんですか?」
「さすがに管轄違いですからね。一旦は止まるでしょうけど、下手したら私もハルさんやロニさんを滅ぼせと協力を要請して来るかもしれませんし」
あー、それはめんどくさい。じゃあガブリエルさんは「主」の捜索に全力を出してもらおう。
「恐らく全力で来るじゃろうな。機関の部隊員全員とはいかんでもかなりの精鋭を連れて来るじゃろうて」
「えーと、ロニさんやガブリエルさんが知ってる範囲でどんな人が居るのか教えてくれませんか?」
「そうですね。それくらいの情報提供は構わないでしょう」
ガブリエルさんが口を開いてくれるのだった。




