770:再生者(リジェネレーター)
多分灰からでも復活出来ると思います。
「あのぅ、あなたに攻撃したことは謝りますのでぇ、ミスロニを、真祖の吸血鬼を滅ぼす邪魔をしないで貰えませんかぁ?」
「真祖の吸血鬼を滅ぼすの?」
「えぇ、我らが主の敵ですからぁ」
「百歩譲ってロニさんは滅ぼしても構わないけどそれ以上はダメ」
私の言葉に「なんじゃと!?」とかロニさんが騒いでいたが、今度はハルに取り押さえられた。
「ふぅん、その口ぶりだとぉ、まだ居るんですねぇ、人類の敵たる真祖の吸血鬼がぁ」
「まあバレると思うから言っとくけどそこに居るハル。眷属でなくてちゃんとした真祖になってるから」
「討滅対象が二匹に増えたんですねぇ。これは本気で行かないとぉ……」
アナスンは端正なと言って差し支えない顔を歪めて笑った。元は良いのに醜く見えてしまう。
「いや、あのさあ、そんな事私が許すと思う?」
「あなたに許してもらう必要なんてないんですよぉ?」
「あー、そう。それじゃあ仕方ない。サンドマン」
「ほよ?」
あっという間に眠りに落ちるアナスン。やけに呆気ないな。
「まあこやつは不眠でも活動出来るバケモノじゃからなあ。その分眠りに耐性は無かったようじゃが」
「えーと、じゃあロニさん、アナスンとやらの素性を話してよ」
「こやつはあ奴らの言う「主の敵」を殲滅する為の部隊長じゃよ。わしの知っとる限りじゃ五百年は生きとる」
五百年!? この人、ただの人間じゃないの?
「再生の秘術とやらを使って細胞の老化を防いどるそうじゃ。詳しい原理はわからんが我らが主とやらも随分と酷いことをするもんじゃて」
いやまあ人は宗教が絡むと予想外の方向に突っ走ってったりするからなあ。大抵本人に自覚ないんだけど。
「しかし、ロニに眷属?」
「まあハルに眷属化の術式を教えた時に勘づかれたのであろう。特にこやつはわしを探そうと世界中に網を張っておったみたいじゃしの」
ああ、ルーちゃんの不老不死問題かあ。という事はルーちゃんの方は大丈夫って事かな?
「のう、提案なんじゃが、こやつ、このまま海中にでも沈めんか?」
「ロニさん……さすがにそれはあんまりじゃ」
「しかしの、首を切断しても身体をぐちゃぐちゃに潰してもこんな風に生きとるんじゃぞ?」
え? ロニさん、そんなことしてたの?
「まあわしも心臓に杭を撃ち込まれそうになったり、火炙りにされたりとかなったがの」
ああ、持ちつ持たれつ……じゃない、やられたらやり返す系か。って、それでも死なないならまあほっといていいんじゃない?
「あのなあ。死にはせんでも痛いんじゃぞ? 確かに生爪剥がしても死にはせんが痛いのをほっとくこと出来るか?」
そう言われると困るなあ。確かに放ってはおけない。でも見た目人間だから殺すのも気が咎めるし……
「これならどうじゃ?」
ロニさんが詠唱を始めた。雷が部屋に生まれて……ドカンとアナスンに降り注いだ。
「いきなり部屋の中で何するんですか!」
咄嗟に結界を張って周りへの影響を抑えたけどアナスンは黒焦げになった。
「よし、今のうちにこやつを」
「えー、酷いじゃぁありませんかぁ、ミスロニ」
黒い物体が徐に集まって段々とアナスンを形作る。サンドマンで眠らせて居たのに雷の衝撃で黒焦げになったから解けたのだろう。なんつー無茶苦茶な。
「まぁ、お陰様で目が覚めましたけどねぇ。本当にあなた、何者ですかぁ?」




