754:燃えてヒーロー
翼くんより若林くんの方が好きです。岬くん
もっと好きです。
グラウンドに移動するとおじいちゃんの体育教師が待っていた。着替えて真っ先に飛び出して来たのはルーちゃんとゆう。
「私の方が早かっタ!」
「いいえ、私よ!」
どっちも同時で差は無いし、そもそも早く着いた所で何もないだろうに。香子ちゃんはため息を吐きながらとぼとぼと出て来た。隣には友達らしき女の子が居る。というか囲まれてない? お姫様なの?
「どっちかってーとかっこよさでモテてるね、あれ」
「せやなあ、えらい男前な子やわ」
香子ちゃんがかっこいい? うーん、確かに一通りの事は出来るけど、家では私に甘えてる事が多いんだけど。いや、可愛いから良いよ? もっと甘えて欲しいくらいだ。
「それは相手がひとみんだからじゃないかなー」
「うちの貴人も家で「敵わん子が居る」て言うてましたわ」
ふむ、つまり、香子ちゃん>>(越えられない壁)>>貴人>ルーちゃんって事?
「では、今日はトラック走……じゃなくてサッカーにしようかの」
今、生徒たちが睨んだよね。まあ参観日まで来てなんで走るだけの様子を見せられないといけないのかって話になるからこの変更は歓迎だ。ん? てことはいつもは走らせてるだけなの? なんか運動の習慣作ろうとしてんのか運動を嫌いにさせようとしてんのかわかんないね。
「よーし、どっちが点を取れるか勝負ダ!」
「望む所よ!」
ルーちゃんとゆうがバチバチと火花を散らしている。組み分けをしてホイッスル! あ、香子ちゃんはルーちゃんのチームに組み込まれました。キックオフはゆうチームのボール。
「とおりゃあ!」
いきなりルーちゃんがスライディングでボールを奪うと、そのままドリブルで突っ込んでいく。おお、速い。態勢が整ってなかったってのもあるけど最序盤でこんなにドリブルで切り込んで来るとは思わなかったんだろう。
「どぉーけぇー!」
ルーちゃんはそのままボールをペナルティエリア手前まで持っていった。さすがにそこは通さないのか数人がそこにかたまってきた。
「いっけぇー!」
ルーちゃんは構わずにシュート! ブロックしてた子たちが吹っ飛んだ!? あ、いや、態勢崩して転んだだけか。ルーちゃんのシュートは見事な弧を描き……宇宙開発の礎となった。
「まっすぐ飛ばないんだケド!?」
その間にゆうのチームはゴールキックからパスで繋いでいく。
「ルーが居なきゃ雑魚雑魚!」
完全に調子に乗ってるっぽい。でもボールさばきも上手いし、このままいくのでは? と思ったら後ろから追い上げてくるルーちゃん。
「さ、せ、な、い、ゾ!」
間に合わないと断じたのかそのままシュート! ちょっとロングだけど必殺シュートみたいに威力は十分。ただ、キーパーが香子ちゃんじゃなければ。
「よいしょっと」
香子ちゃんは飛んで来たボールを片手で掴んだ。そして大きく前線にスロー。ボールはフォワード陣へと飛んで行き、そのうちの一人がシュート。ルーちゃんもゆうも反応出来ずにそのままゴール。先制点は香子ちゃん、ルーちゃんチームだった。
再びキックオフ。今度はまわりを見ながらパスを出していくゆう。こういう頭脳的なプレーも出来るのね。ルーちゃんは運動だけだもんな。
しかし、シュートまでいっても香子ちゃんが止める止める。なんか凄い気迫だけどいつもこうなの? ん? クラスメイトから香子ちゃんの名前が……エルフイヤー!
「今日の香子ちゃん、鬼気迫ってるね」
「いつもは大して動きたくないからってキーパーやってるのにどうしたんだろう」
あれ? もしかして香子ちゃんはしゃいでる?




