748:屋台のラーメン>フランス料理
はぁはぁ、ここまで来れば……ラーメンでも食うか。
連れてこられたのはフランス帰りのオーナーシェフが経営している高級フランス料理店。……なんでフランスまで修行に行ったような人がこんな田舎で店を出してるんだ?店を出してるんだ? 都会に行けばいいのに。広島とか小倉とか近いんだから。
「ようこそいらっしゃいました。ご注文を」
「お任せでー」
「……かしこまりました」
ウェイターさんに告げてしばらくすると食前酒のワインが出て来た。
「ハル、あんたね……」
「あ、いや、ほんの一口だけだしさー」
「あんたのアルコール耐性、ほぼゼロなんだからやめなさい。ほら、私も飲み物ノンアルにするから」
「ひとみんとお揃いならいーかなー」
「そういう訳ですので……すいません」
「……かしこまりました」
不満そうな顔浮かべながらウェイターが接客する。いや、そんな顔してちゃまずいだろ。
「ねえハル、このお店どうやって知ったの?」
「んーとね、料理は美味いけど接客がカスのお買い得なお店があるって噂で聞いたんだよねー」
「ああ、そうなんだ……」
接客悪いって納得だな。オードヴルが出て来た。野菜のサラダだ。味は……うん、美味しい。新鮮な野菜を使ってるな。続いてスープ。コーンポタージュだ。なかなか美味しい。ちょっと熱いかな?
魚料理。エスカルゴだ。
「えー、私、これ嫌ーい」
「あんたね……ならコースなんか頼みなさんな」
「ちぇー」
結局ハルはエスカルゴに手をつけず、私もそこまで好きでは無いので半分くらいは残した。さて、次は肉料理……
「おい、なんで俺の料理を残すんだ!」
見るからにシェフって感じの人が厨房からこっちに向かってズカズカ歩いて来た。おいおい、シェフが厨房離れて良いのか? ほかのお客の……あ、居なかった。
「いや、この子がエスカルゴ苦手で。私もそこまで好きでは無いし」
「あのエスカルゴはわざわざ空輸して取り寄せた高級品だぞ!?」
そりゃそうだろう。もし、「近所の庭で捕まえました」とかだったら間違いなくリバースしてる。
「残したのは悪かったから次の料理を運んでくれない?」
「ぐぬぬぬ、覚えてろ!」
そのままシェフは引っ込んだ。肉料理は子牛のワイン煮込み。ワイン煮込みかあ。
「ハル」
「なあに?」
「ここから出ましょうか?」
「えっ? まだ肉料理食べてないよー?」
「ワイン煮込みをハルに食べさせる気は無いよ?」
「私なら大丈夫だよー」
そんなやり取りやってるとまたシェフが来た。
「おい、お前ら、今度はなんの嫌がらせだ!」
「いや、食前酒のワインも断ったのにワイン使った料理を食べる訳無いでしょ」
まあワイン煮込みとか多分アルコールは飛んでるんだろうけど……それでもハルは酔いそうだもんな。
「貴様らに私の料理を食べる資格はない! とっとと帰ってくれ!」
あっという間に店を追い出された。
「ひとみん、ごめーん。ちょっとムカついたからこの店買ってくるー」
「あー、そんな事は良いから。どっかの屋台でラーメンでも奢ってよ」
「屋台ってカード使えるかなー?」
「……無理なんじゃない?」
結局、屋台のラーメンを私が奢った。このお金は必ず返すとか言ってたけど、これくらいなら奢ってもいいんだよ。いっつもお金出してもらってるし。
明日は支店に午前中に行って報告かな。その後で晩御飯の材料買って帰ろう。




