746:チョコレート好きな悪魔(ネイト)
ヘスティア、ティターニアのお友達、現在ヘスティアのお部屋に居候してるネイトさんが登場です。
さて、今日からハルとの二人暮らしだ。支店には「来週にはアパートの立ち退きが終わって融資回収出来るのでその準備を直行直帰でお願いします」と言ったら通った。まあケーキ屋での実績もあるしね。後、ボーナス時期でもなければ大して忙しい訳でも無いのが。
前もハルのお部屋で二人暮らしの真似事をしたが、あっちはすぐそばに香子ちゃんとかロニさんとか居たしハルも籠りきりだった。でも、今回は……
「ひとみーん、ひとみんひとみんひとみーん!」
「何よ」
「呼んでみただけー」
小学生か! 若干浮かれてるのはまああれだ。理解は出来る。でも今日はそこまで相手してられないぞ?
「えー、なんでー?」
「ケーキ屋の方見に行くんだよ」
「お供するよー」
まあ外に出るなら良いかな。二人きりという訳でも無いし。ハルと二人でケーキ屋へ。
「いらっしゃいませー、あっ!」
店に入ると源造さんが接客して来た。
「この時間は高校生居ませんもんね」
「あー、客も来ねえしな。パートの主婦とか雇ってもいいんだが」
「雇わないんです?」
「予算的には大丈夫なんだが、俺の顔見ると逃げて行くんだよなあ」
あ、まあ、主婦さんとかこの店に来るとどこぞのエロゲの登場人物になりそうだもんね。実際源造さんってそこまで害は無いんだけど。
「えーと、地狐ちゃんは?」
「最初は働いていたんだが最近は……」
「おい、ニンゲン! この地狐様のオヤツが無い……ぞ……」
おや、随分偉そうだねえ、地狐さん?
「ひっ、ひひひひひとみ様!? いえ、これは、その……」
「どういう事かなあ?」
「くっ、こうなったら!」
私が詰め寄ると地狐さんは私でも源造でもないもう一人、すなわちハルにしがみついた。
「はっはっは。源造では人質にならんかったがこの者なら別であろう。この地狐を解放せよ!」
「きゃー、わー、助けてー」
ハルが棒読みチックに叫んでいた。わざとらし過ぎて涙が出そう。
「えーと、確かに私にとって大事な人だけど、そいつ、真祖のヴァンパイアよ?」
「は?」
「ひとみーん、バラしちゃダメじゃーん。まあでも「大事な人」はいただきましたー!」
そう言ったハルの身体がどろりと溶けて闇の塊になり、地狐さんを取り込んだ。
「な、なんじゃこりゃあ!」
「いやー、もうちょい遊んでも良かったんだけどねー。真面目にお仕事しないとおしおきしちゃうよー」
「わかった! いや、わかりました! 働きます、ちゃんと働きますぅ!」
身体の五分の四辺りが闇に飲み込まれている状態で、これ以上だと言葉も発せられないというギリギリのライン。そこで地狐さんはギブアップした。
「はーい、じゃあメイド服に着替えてねー」
「ううっ、わかりました」
とぼとぼと更衣室に引っ込んで行った。
「定期的に見張らないといけないんじゃなーい?」
「そうは言ってもねえ……誰か人を……」
「それなら私がここで働きましょう」
ん? 客? どっかで見たことが……ってネイトさん!?
「どうも、ひとみさん。こっちに居るならどこかで働こうと思ってたんですけどなかなか私でもいいってところがなくて。ほら、私の肌、褐色ですから珍しいでしょう?」
「あ、いや、多分ネイトさんが問題なのは履歴書とかそういうのじゃ……」
「そういえば履歴書とか訳の分からないものを見せろと言われましたね。全く。エジプトにはそんなものありませんのに」




