733:当方に迎撃の用意あり
覚悟完了!
「なんだなんだ、何事だ?」
「あ、部長!」
どこかの部長さんらしい。真那さんが囚われてるのは内科かな、外科かな?
「師走真那さんを迎えに来ました」
「なんだと!? ……いや、そんな患者は知らんな」
あ、顔に出てる。こいつ二流だわ。
「大丈夫よ。勝手に探させてもらうから」
「そんな事が許される訳がないだろう! 警備員、こいつらをつまみ出せ!」
「病院内に入るのは自由じゃないの?」
「見舞いでもないなら通す謂れはないな」
部長の後ろに警備員が五人ほど。私たちに数を合わせてくれたかな。一人一殺方式だね! えっ、意味が違うって?
「取り抑えろ!」
部長の号令の元、警備員たちが走って来る。いずれも体格のいい男性だ。
「いっちばーん、いっきまーす」
走り出したのは楓ちゃん。血が騒いだのかもしれない。先頭の男に高高度ドロップキックをかまして引き離した。よろめいている男に水面蹴りで転ばせてフィギュアフォーレッグロック(足4の字固め)
「乱戦で関節技だと!?」
「させません」
澪ちゃんが続いて前に突っ込む。そして触手を伸ばした。と言っても警備員さんたちには見えないんだけど。
「なんじゃこりゃ、動けん!?」
「何をやったか知らんが取り抑えれば」
「次は私の番ですね」
葵さんが進み出て警備員が振りかぶった警棒を腕で受け止める。普通なら粉砕骨折しそうな勢いだが、葵さんの龍鱗には全然通用しない。そのまま男を端に誘導して顔面に水の玉を被せる。
「モガッ!? ごぽぽぽぽ……」
「何言ってるか分かりませんね」
もしかしたら葵さんが一番えげつないのでは?
「じゃあそろそろ私も行くよ!」
ハルの目が赤く光ったと思うと、残りの二人の警備員が魂を抜かれた様にボーッとしていた。
「よっしゃー、邪眼成功!」
「邪眼って厨二病?」
「違うよ! 正確には魅了の瞳術なんだよね。ロニに教えて貰ったんだー」
なるほど。ハルも日々成長してるのだな。って、私の分は?
「ほら、そこで部長さんが呆気に取られてるよー」
「私の相手、あれなの?」
「ほら、居場所吐かせないといかないしー。やっぱひとみんがリーダーだから花を持たせたってゆーか」
まあいいけど。それじゃあ弱めにサンドマン。よし、これで半分くらいは寝てる状態だね。
「それじゃあ部長さん、真那さんの居場所を教えて貰いましょうか」
「ううっ、師走真那は……」
「どこ?」
「A棟地下三階の特別研究室だ……」
はあ? 地下なんてあるの?
「表には出せない実験をするためのところだからな。知ってるやつはこの病院内でも一定以上の役職の者だけだ。オレはエリートだからな」
「胸糞悪いエリートも居たもんだわ。よし、じゃあとっとと研究室ぶっ壊そう。で、どうやって行くのよ?」
「……特別なエレベーターが役員会議室に隠してある。そこからしか行けない」
なんとまあ厄介な。じゃあ役員会議室とやらに行くしか無いみたいだね。あ、そういえば受付のお姉さん忘れてたけど……あ、居ないわ。もしかして警察とかに連絡しに行っちゃった?
「いやー、多分上司のところじゃないかなー。警察に見られたら拙いもんとかあるでしょー?」
まあそれならそれで好都合? いや、役員会議室に立て篭りでもされたら面倒な事になる。さっさと行って片付けよう。




