728:あなたならどうする?
コーヒーにブライトとホーリーブライトって似てるよね?
「まあ、そんな訳でその子たちの面倒を見ようと思って」
「それはわかったけど、私の面倒見てよー、ひとみーん」
アパートを出てからその足でハルの所へ。
「でもさ、私だって仕事あるから全部見られないし、人を雇いたいんだよね。学生さん」
「その学生は大丈夫なのー?」
「うん、まあ今日香ちゃんも明日香ちゃんも懐いてるし……」
「そうじゃなくてー、ひとみんはその人の事、どう思ってるのー?」
「えっ? ああ、普通に学生さんだなあって」
「それだけー?」
「それだけだよ?」
ハルが大きく息を吐いた。少し落ち着いたみたい。
「その学生さんが居たらー、ひとみんはもっと構ってくれるー?」
「あのね、今でも十分構って……いや、最近はそうでもなかったね」
債権回収のお仕事が入ってから立て直しとかが忙しくて構ってなかったよ。そうだよね。ほっとくとルーちゃんも居るしめちゃくちゃに……
「私が居ない時はどうしてんの?」
「え? あー、香子ちゃんが家事してくれてるよー」
なら私が居る意味無くない? それにしても香子ちゃん、そんな事までやってたのか。もしかしてルーちゃんを餌付けしてるのかな?
「ひとみんが居ないとヒトミニウムが摂取出来ないじゃーん」
「なんだよヒトミニウムって! しかしまあ構ってなかったのは確かだからなあ。よし、ならこの一件が片付いたらお花見行こうか」
「えっ? 花見? 時期的にはもう過ぎてる気もするけどいいねー。よし、それならその学生さんをアパートの住人の世話係で雇おー」
あっさりだった。ハルの懐を宛にしてる様で少し心苦しいが、あの二人の緊急性に比べたらなんでもない。私は泥水でも飲むよ!
「じゃあ一緒に来てくれる?」
「え? 深夜のデート? ちょっと待っててー、勝負下着穿いてくるー」
「いいから来いっつーの」
ハルを引きずってアパートへ。時間は八時ちょっと前。もう悟君が来ていた。そして今日香ちゃんも一緒に起きてる。明日香ちゃんは……うつらうつらしてる。寝掛けてはビクってなって起きてる。これは限界が近そうだ。
「みんなお待たせ」
「おっ、この子たちー? なんだ、可愛いじゃーん。それに……ああ、なんだトロそうなのが学生さんかー」
「はい、御堂悟です。あの、ひとみさん、この方は一体……」
「あなたが今日香ちゃん? ハルって言います。よろしくねー」
「ハルお姉ちゃん? よろしくー!」
「おお、元気だね。君が明日香ちゃんかなー? よろしくねー」
歳下には強いらしい。そして私たちとそんなに歳の変わらない悟君の方はと言うと……うん。オトコオトコしてないから大丈夫そうだ。草食系というか断食系というか。
「ええと、その、ハルさんはどうしてここに?」
「それは私から説明します」
悟君に語り掛ける。ハルに説明させると支離滅裂だからね。
「えー、あなたには明日からこの二人のご飯を作って、身の回りの世話をしてもらいます。朝ごはん、昼ごはんは前日の夜に作って翌日レンチン。晩ごはんは一緒に食べる。学校が休みの日は朝と昼も一緒。おーけー?」
「いえ、その、僕は料理とか出来ないんですけど……」
「為せば成る。というかある程度は教える。だからこの二人の面倒を見なさい。多分あなたにしか出来ないことだから」
今日香ちゃんがとまどいながらも期待のこもった目で、明日香ちゃんは心底嬉しそうな目で悟君を見ていた。




