724:ご飯を食べよう
昼食取りながら書いてます。
歳の頃は小四くらいだろうか? やせ細った身体が痛々しい。顔立ちはそんなに悪くないんだけどふくよかさがないので暗い印象を受ける。
「父も母も居ませんよ?」
「やれやれ、やっぱりか。ほら、お腹空いてるんだろ?」
「おじさんも変な人ですね。でもいただきます」
そう言うとその子は部屋の奥に走って行った。奥の方では「ほら明日香、食べなさい」「ダメだよ、お姉ちゃんが貰ったんだからお姉ちゃんが食べて」「私はいいから。他で食べてきたもの」なんてやり取りが交わされてる。ん? てことはあの子小六なの?! 発育悪いなあ。いや、胸の話じゃなくて!
「お待たせしました。いつもありがとうございます。ご覧の通り父も母も居ませんし、家賃も払えません」
「あのさ、なんでここで暮らしてんの?」
「それは……どこにも行くところがないから」
「施設は?」
「そんな事したら明日香と……妹と離れ離れになるかもしれない。それに施設が全部いい人とは限りませんよね?」
おおう、かなりスレてる。でも妹と離れたくないのは気持ち分かる。いや、本当の意味では分かってないのかもしれないけど。
「あなたたち、生活費はどうしてるの?」
「……あなた、ケースワーカーの人かと思ったけどそういう事聞くって事は違うんですね。誰なんですか?」
「あー、私は霜月ひとみ。ひとみお姉さんだよ」
「何者かと聞いたんですが、答えてくれないんですね。じゃあもういいです」
「あー、待って待って! そうだ。ご飯! ご飯食べに行こう。聞く代わりに色々奢ってあげるから!」
この一言には揺れたみたい。いや、怪しく思われたからってご飯で釣るのはどうかと思うけど。
「そんなの要らな……(ぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)」
大きな空腹音が響き渡った。女の子は顔を赤らめてしゃがみこんでしまった。
「お姉ちゃん、やっぱり半分こ……誰?」
とてとてと出てきたのは幼稚園児にしか見えない女の子。やっぱりこの子も発育悪いんだなあ。
「わたし? わたしは明日香だよ」
「明日香、部屋に入ってなさい」
「えー? だってせっかくのご飯なんだからお姉ちゃんと一緒がいいんだもん」
よし、ここだな。
「ねえ、明日香ちゃん。私はひとみお姉さんって言うんだけど、ご飯一緒に行かない?」
「えっ、ご飯? 行くー!」
「あ、明日香!?」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。この人悪い人には見えないし、三井のおじちゃんも一緒なんでしょ?」
頭は良い様だ。人を見る目もあるのかな?
「それに、お姉ちゃん、もう三日も何も食べてないんだから倒れちゃうよ……」
「明日香……」
なんですと!? これは強制連行決定だね! お腹いっぱい食べさせてあげなきゃ! ……いや、いきなり食べると胃がビックリするかな?
「よし、ちょっとついてきなさい」
「えーと、じゃあお世話になります」
顔を赤らめながらも了承してくれた様だ。よし、じゃあみんなでご飯だ! 連れて行くのは私がいつもランチを食べてるところ。昼の時間は過ぎてるから多分暇してる。
「いらっしゃい……おや、霜月さんじゃないか」
「こんにちは、おばちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど」
「ん? まあ昼食の時間は過ぎたから少しなら構わんけど、どうしたのかね?」
「実は……この子たちにご飯を食べさせたいんだ」
「おや、まあ! 霜月さんの子どもかい?」
「ちーがーいーまーすー! ちょっと放っておけなくて」
そう言うとおばちゃんはうんうんと頷いた。
「そうかいそうかい。それじゃあたーんと食べさせてやるかね」
「え? あの?」
「子どもは遠慮しなくていいんだよ。ほら、そこ座りな」




