717:悪役来店
まあ邪魔は入るものです。
そんなこんなで一週間が過ぎた。これ、普通に返済出来るんじゃないかな?
「なんでラーメン屋がケーキ屋になってんだ!」
恰幅の良さそうなデブちんが黒服の男たちを引き連れて店の前で騒いでいる。
「いらっしゃいませー」
「そこの貴様! この店はどういう事だ?」
「一週間前に新装開店したばかりです。今ならお得な会員カードも……」
「そんな事は聞いてねえんだよ! ここにあったラーメン屋はどうした?」
「えっ? そんな事言われても、私はケーキ屋のバイトですし……」
「もういい。店長を呼べ!」
さっきから聞いてりゃなんだこのデブちんは。源造さんはケーキ焼くのに忙しいんだよ!
「あの、あなたたち、近所迷惑というか営業妨害なんですけど」
「なんだと? このオレに逆らうのか?」
話が通じてない。
「ん? よく見ると貴様、美人だな。愛人にならんか?」
「死んでも嫌です」
「後悔するぞ? このオレを誰だと思ってるんだ?」
「さあ? 誰なんですか?」
「オレの父親は県会議員で、オレの母親は化粧品会社の社長だ! どうだ!」
いや、そんなどうだとか言われても。
「それであなたは何者なんですか?」
「なんだと? 今の説明を聞いてなかったのか?」
「いえ、聞いてましたよ。お父上が県会議員でお母上が会社社長。そこは分かりました。それとあなた自身と何か関係があるんですか?」
「なっ!」
「何も持ってないんですね。親のスネをかじってるっていうか。まあ帰ってママのオッパイでも吸ってればいいんじゃないかな?」
男性にこう言うと怒るらしい。私ならママのオッパイいつまでも吸い続けたいけどなあ。
「おい、お前ら! こいつを捕まえろ!」
どうやら口では勝てなくて実力行使に出るらしい。男たちも向かってくる。
「ひとみさん、危なーい」
横から飛び蹴りで楓ちゃんが入って来た。絶対危ないとか思ってなかったよね?
「ひとみさんに手を出すなら私が相手だよ!」
なんでそんなに嬉々としてるかな?
「楓ちゃん頑張ってー」
「いえーい、みんな見ててね!」
ファンサービスなんだろうか? それにしても力を使っちゃって良いの? と思ったら掴みかかってきた男を一本背負いで投げた。なるほど。柔道だったらそんなに目立たないって事?
「クソ、そいつを先に捕まえろ!」
標的が楓ちゃんに変わったようだ。でもポイポイ投げられてるね。五人ほど片付いた所で黒服たちは逃げた。
「お、おい、お前ら、どこに行くつもりだ!? ちくしょう、あいつらめ」
「さて、何でこんなことしたのか説明してもらえる?」
「なんでお前らに説明せんといかんのだ!」
「あ、そう。楓ちゃん?」
「はいはーい。右腕? それとも左腕?」
「な、何の話だ?」
「喋りたくなるまで指を一本ずつ折っていくんだよ」
そこまでやれとは言ってないんだけど。でも楓ちゃんが笑顔で言うから恐ろしくなったみたい。ペラペラと話してくれた。
なんでもここの土地を買い上げたら地上げが成功してまとめて大きな土地として売れる予定だったんだって。まあなんというかよくある話だ。その為にファミレスを誘致もしたらしい。いや、ファミレス誘致する土地があるならそっちを売れよと思ったけど、買ってあった他の土地と合わせての話らしいからなあ。ファミレスの土地は借り物なんだそうな。さて、どうしたもんかね?




