718:お引越し
不動産屋は三件目に本命を見せると言います
地上げ屋が来た。撃退した。で、この土地をどうするかなんだけど……
「オレはどこでも構わんがな。ここにしたのは親父が残した店だからだし」
源造さんは特にこの土地には執着してないらしい。つまり、売買成立って事? まあ引越し代とか色は着けて貰う事になるけど。
「普通に売ってもらえる……だと? だとしたら今までの苦労は……」
「しなくても良かったねえ」
「ちくしょおおおおおおおおおお!」
さて、それじゃあ代替地を選定に行かなきゃね。えーと、源造さんはついてきて欲しいんだけど、ケーキ屋どうしよう?
「それでしたらうちのメイドたちに焼かせますわ!」
澪ちゃんがメイドさんを連れて来て立っていた。だから全部話聞いてましたみたいに出てくるんじゃない。
「おお、師匠たちでしたら安心ですな」
源造さんにとっては師匠だもんね。オッケーでしょうよ。
「それじゃあ代わりの物件に案内してください」
「分かった。じゃあ不動産屋を呼ぶ」
あ、この人たちが不動産屋じゃないのか。地上げ屋? しかしこんなのに頼むなんてロクな不動産屋じゃないよなあ。
「お待たせしました……おや、霜月さん?」
丸角不動産の三井さんだった。
「ちょっと三井さん!」
「はい、なんでしょう?」
「なんでこんな奴ら使ったんですか?」
「え? 私は色んな所にここの土地を買いたいので交渉をお願いしますと外注しただけなのですが」
「この人たちが何したかは?」
「何かしたんですか?」
「……なんでもないです」
言っても無駄みたいだからいいや。それで三井さん、この人の店舗の代替地なんだけど。
「上物要りますか? それによって違ってくるのですが」
「要るに決まって……待てよ? この店直接そっちに移せないかな? そしたらここの撤去工事も出来て一石二鳥だし」
そうと決まったらドライアド!
「え? 何? この店移動すんの? そりゃまあひとみなら出来ないことは無いだろうけど」
「やり方教えて!」
「仕方ないなあ。じゃあまず向こうの土地とこっちの土地を繋げてだね」
あ、まだどこに移転するか決めてない。とにかく出来そうって事でそっちの方向で話を進めよう。三井さん、お願いします!
「あー、まあよく分かりませんが上物要らないのでしたらいくつかありますよ」
と、いう訳で三井さんの車で土地を回ることに。
「まずはここですね」
「未分譲の住宅地じゃないですか! しかもちょっと奥まってるし」
「駐車場のスペースはありませんが下水も来てますし」
「お客さんが来れないし、バイトの子達も難しいです。却下ですよ」
「そうですか? それでは次に行きましょう」
次に案内されたのは周りが田んぼの〇俣瀬辺り。人、住んでるんだなあ。いや、失礼だけど。
「ここなら駐車場のスペースには困りませんよ!」
「いや、交通のインフラが不便だから! バイトの子達来れないよ!」
「仕方ないですね。じゃあ最後の所に行きましょうか」
えっ、もう最後なの? ちょっと真面目にやりなさいよ。売らないよ? 私が決めることじゃないけど。
「ここです」
駅前の一等地。駅前って言ってもローカル線じゃなくて山陽本線だよ!
「ちょっと、ちゃんといい場所があるじゃないですか。ここにしましょう!」
「いやあ、実はここはちょっと問題がありまして」
問題? 何が来ようと大丈夫ですよ。みんなが居るもん。
「出るんですよ」




