498:破壊者たちの黄昏
ロニさんはお留守番です。ビショップさんは腕に覚えがないので観客席に居ます。
楓ちゃんは澪ちゃんがつきっきりになってる。
「よく頑張ってくれました、楓」
「へへっ、澪のために頑張ったよ」
そして二人は幸せなキスを.......おい、お前ら、舌入れる濃厚なのは終わってからやれ。
「俺たちをナメてんのか!」
「舐めるのは楓とお姉様だけで十分ですわ!」
私は舐めなくていいからね。
「この小娘.......むっ!」
澪ちゃんの周りに展開される金色の粉。
「こっ、こいつが候補者だ!」
「逃がしませんわ!」
数人を搦めとる。まああの程度なら澪ちゃんなら大丈夫そうだ。他の人は.......
「くっ、なんだこの水流は。上手く近づけん」
「男の人は苦手なので来ないでくださいね」
水の壁を作ってるのは葵さん。なんか火の玉とか槍とか飛んでくるけど全部シャットダウン。でも私は知ってる。多分一番威力あるのはゲンコツだ。
「さぁて、私もやらなきゃねー。ここまで出番なくてイライラしてたんだよねー」
ハルは襲ってくるヤツらを無造作に跳ね除ける。きっちり真祖化してるみたいで半神といえども単なる捕食対象っぽい。何人かが既に干からびてる。
「斬ります、斬ります!」
琴葉さんも頑張って斬ってる。何で斬れるのか分からないなって思ってたらリヴァイアサンがくっついてた。なるほど。
「だから私は関係ないんだってば!」
銃を撃ちながら下がっていくのは睦月さん。飛び道具は効かないみたいでジリジリ追い詰められてる。
「飛龍裂破!」
そこに乱入したのは晶龍君。やる気は満タンだ。暴風のように暴れて睦月さんを救い出した。
「ポーン隊、睦月さんをまもって!」
ブランちゃんの声でポーン隊がわっせわっせと睦月さんを避難させる。
「さあ、どっちが多く倒すか勝負です」
「しゃらくせえ、負けるかよ!」
とうとう年少組はキル数を競うようだ。置いといてもドン勝ちしそうだ。
「小娘共が!」
グイッとボタンを押すと闘技場の一角から牛面人身の化け物が。
「やれい、ミノタウロス! 全て吹き飛ばしてしまえ!」
一直線に澪ちゃんの所へ。きっと触手があるから大丈夫.......あっ、なんか全部触手ふさがってない? これは多勢に無勢だ。
「ンモォーーーーーーーー!」
巨大な戦斧が振られて楓ちゃんと澪ちゃん目掛けて振り下ろされた。楓ちゃんが持ってた宝塔で受け止めた。
「ぐっ、力が足りない.......」
「楓、無茶ですわ」
「止めないと澪に当たっちゃうもん」
「楓が無茶するよりはマシですわ」
「さすがにそれは怒るよ。澪に何かあるぐらいなら限界でも超えてみせるって」
ジリジリとミノタウロスの戦斧が下に沈んでいく。楓ちゃん、やっぱり力が戻ってないんだ。
「澪、今のうちに逃げて」
「楓一人置いて行けません。それにまだまだ周りが逃がしてくれなさそうですし」
二人は最後の微笑みとばかりにニッコリと笑いあった。私は動けない。他の人もおそらくもう無理。ちくしょう、これで二人にもしもの事があったら関係者全員ぶっ殺す。あれ? なんだあの人影?
ドゴン!というものすごい音がしてミノタウロスが吹っ飛んだ。あまりの出来事に会場全てがしんとしていた。
「やめんか、貴様ら!」
怒号を放ち、握りこぶしを作っていたその男は、ヘラクレスさんだった。




