496:メイクアップ!
いや、どうしてもこの変身やりたくて.......
「こっちに来るな!」
「そこだ、ぬぅん!」
切っ先が楓ちゃんのボディを捉えた。わずかだがかすめて血まで出てきた。
「楓!」
「大丈夫、澪。レスラーに流血はつきものだから!」
誰がレスラーやねん。まあプロレス技ばっかだけど。
「浅かったか? いや、寸前で跳んだか」
「ご名答。ヒヤヒヤだったよ」
「ならば跳ぶことを見据えて攻撃を放てば良いな」
「残念だけどもうこれ以上はやらせないよ」
吉備津彦はニヤリと笑う。
「私の戦闘力はお主を上回っておる。しかも、俺はきびだんごを食べれば強くなり、そのきびだんごをあとひとつ残っている。その意味がわかるな?」
「えーと、要するにまだ強くなるってことでしょ。いいよ。だったら私も強くなるから」
楓ちゃんは懐から宝塔(ちっちゃい家みたいなやつ)を取り出した。
「魔女っ子変身!」
は? なんか楓ちゃんがキラキラ光って踊ってる。そんでなんか色々換装されてる。ガッチガチの鎧じゃなくて魔女っ子方向に。一体何を見せられてるんだろうか?
「愛と正義の美少女戦士、キュアインディア。お呼びとあらば定刻通りに即参上!」
色々混ざってる。混ざり過ぎてる。どこからツッコめばいいのか全くわからん。
「面妖な。装甲が厚くなるかと思えば益々薄くなりおって。もう容赦はせんぞ!」
吉備津彦は最後のきびだんごを食べた。見るからにオーラが膨れ上がっていた。
「ほほう? ここまでに成長したかよ」
「楽しそうですね、素戔嗚尊様」
「ああ、だが、楓の方はなんだありゃ」
「あれは我らの戦闘衣装を設定する時に楓本人が決めた事だ」
まさかの楓ちゃんセルフデザイン。でも戦闘衣装?
「曲がりなりにも四天王だからな。戦闘力を持っておかんといかんから覚えさせたのだ」
「そうなんですか」
「そしたら他の四天王を圧倒してな。三人がかりで三分持たなかった」
それってめちゃくちゃ強いんじゃ.......
「きびだんごを食べしこの我の力、見るが良い! 金剛灰燼」
「負けない! キュア右ストレート!」
ステッキみたいな宝塔は使わず、右腕で撃ち抜いた拳はものすごいスピードで吉備津彦の刃の横をすり抜け、顔面へと到達した。
「キュア左フック、キュアチン、キュアテンプル、キュアチョッピングライト、キュアボディブロー、キュアアッパーカット!」
キュアついてるけど単なるパンチだよね?
「はが.......」
いや、金剛なんとかもすごい技だったよ。闘技場粉々だもん。でも楓ちゃんには当たらなかった。吉備津彦は顔を腫らして気絶してしまった。心眼はどうしたって? いや、女子高生があんなミニスカートヒラヒラ、おへそ丸出しなえっちな格好してたら心眼じゃなくて実の目で見ちゃうじゃん!
「しょ、勝者、カエデ・ミナヅキ!」
わぁぁぁぁぁって盛り上がってるけどあんな勝ち方で良かったの? いや、まあいいけど。
「おめでとうございます。大会の感想を優勝者に」
「澪ー! 勝ったよー!」
第一声がそれですか。まあ良かったんじゃないかな。
「それで、優勝者は一つ願いが叶えられますが」
「えーと、だったら、澪の神様への試練を終わりにしてください!」
「それは出来ん。飽くまで人の身での願いに限る。しかし、この優勝は試練達成実績に刻まれるぞ」




