493:Easy Come,Easy Go
タイトルの本当の意味は悪銭身につかずです。こういう展開のことを指す訳じゃないよ?
楓ちゃんが暴走してラモラックさんが対峙している。楓ちゃんは低く唸るとそのまま突っ込んで行った。
「おっと」
ラモラックさんはそれを何とかかわす。一歩間違えたら吹っ飛んでいた。
「おお、怖い怖い」
それでも楓ちゃんは何度も突っ込んで行く。ラモラックさんは突っ込んで来る楓ちゃんをひらりひらりとかわす。
「やれやれ、スピードは凄いが動きは単調。それじゃあ勝てないよ。一発でも当たれば一溜りもないだろうけどね」
「やったー、さすが円卓の騎士、カッコイイ!」
ドライアド大騒ぎ。楓ちゃんよく頑張ったけどここまでかな?
「これなら回避の必要なく貫けるかな」
ラモラックさんは鎧を脱ぎ捨て槍を構えて大きく気を膨らませた。いや、私がわかるんじゃなくてインドラ様が解説してくれるからだけど。
「あれは、キャメロット流槍術秘奥義、ブリューナク」
「知ってるんですか、インドラ様」
「うむ、かつて聞いた事がある。太陽神ルーがかつて持ったと言われてる槍の伝承を全て込めた技だと。鎧を脱いだのも速さに特化するため。使える者はアーサーとランスロットだけだと聞いていたが.......」
「どんな効果なんですか?」
「同時に五ヶ所貫ける。あと稲妻みたいなものだから焼け死ぬ」
「ダメなやつじゃないですか!」
「まあ楓は不老不死だし、蘇生のあてもあるのだろうから構わんだろう」
楓ちゃんが一直線に向かっていく。もうこれ以上ない無防備だ。
「喰らえ、キャメロット流槍術秘奥義、ブリューナク!」
幾条もの光の槍が楓ちゃん目掛けて一直線に飛んで行った。楓ちゃんは正気じゃないからまともに食らって、大爆発が起きた。
「楓ちゃーん!」
「おかしい」
「え?」
「通常、ブリューナクに貫かれたら光芒に焼かれて手足が切り落とされる程度のもの。爆発なんて起こるわけが無い。これは絶対におかしい何かがあったに違いない」
「一体何が.......」
ラモラックさんは片膝を着いている。その背後に誰かいる!
「よっこいせっ!」
そのままジャーマンスープレックス投げっぱなし。
「よっしゃー!」
楓ちゃんがそこに立っていた。えっ、どういう事?
「いや、私にもさっぱり.......」
「はっはっは、こりゃあおもしれぇことしやがったな」
え? 素戔嗚尊様分かるの?
「見てりゃわかるだろうがよ。楓はとんでもねえペテン師だな。ラモラックを引っ掛けやがった」
引っ掛け?
「暴走状態で直線的な攻撃しか出来ないと思わせといて油断誘ったのさ。鎧脱がせて攻撃を叩き込む。シンプルな作戦だがよく考えてやがる」
ボス解説は素戔嗚尊様でしたか。まあ戦闘に関しては一流だもんな。
「ラモラックさん、ありがとう。楽しかったです」
「いや、もう動けんのだが、勘弁してくれんかね?」
「全力には全力で。それが私のモットーですので」
楓ちゃんは両膝を着いて息も絶え絶えなラモラックさんの両腕を交差させて後ろから掴んで、更に股に頭を突っ込んだ。こら、そんなはしたない!
「喰らえ、必殺、JOサイクロン!」
そのまま後方に投げる。手を掴まれているから受け身も取れてないみたい。最も受け身を知ってるかどうかも知らないけど。
「しょ、勝者、カエデ・ミナヅキ!」
大歓声が会場を包んだ。決勝進出かあ。




