485:ぼく、めいかいへいったよ!の巻
さあ、レギンレイヴの部下って誰かな?
あの後、平家の亡霊を沢山連れて帰ってきたレギンレイヴはお小遣いの額が増えたんだとか。そして平家の方々は類まれなる戦闘能力を発揮してるんだとか。
「今日もそこから一人来てますよ」
「来てるって亡霊だよね?」
「英霊に昇格してますから人間と同じですよ。まあ我々は審判を公正にやるだけなんですけど」
英霊に昇格すると実体を作れて人間と同じ事が出来るのだとか。今日はその慣らしらしい。
「それではそろそろ準備がありますので。頑張りますから見ててください」
「あ、うん、頑張ってね」
三人はそのまま去っていった。と言っても審判してるところなんて殆ど見えないんだよねえ。
「今日は私もみんなのそばで楓を応援しますわ」
「昨日は?」
「ヘラ義母様に愛でられてましたわ」
「一日中?」
「一日中。ああ、楓の試合の時は見せてもらいましたけど」
楓ちゃんの相手はヘラ様の息子。機嫌悪くならなかったかな?
「それでヘラ様なんか言ってた?」
「えーと、あの息子リストラしようかしらって」
さすがに酷いのでは? よくよく聞いたらちゃんと冗談だったそうで、厳しい言葉を掛けて成長を促さないといけないみたいとか言ってたらしい。まああの謎のAさんはそれくらいしてもいいよね。
それでも私はみんなと別れる運命。単なる別室だけど。部屋に着くともうみんな来ていた。あれ? なんかトンチキな格好したのが一人増えてんぞ?
「余はファラオである」
「あ、どうも。ハイエルフの霜月ひとみです」
ファラオってあのエジプトの?
「正確にはファラオの魂と融合した太陽神だ。アメンラーとでも呼ぶが良い」
アメンラーね?チキンラーメンとは関係ないよね。
「我がエジプトの戦士も出ておるから楽しみにするが良い」
「いやー、割とどうでもいいっていうか。楓ちゃんの相手なら大変だけどね」
「第一試合、カエデ・ミナヅキ対エキーオーン!」
エキーオーン? 駅? 音?
「早速出たか。あやつが我が戦士。龍の歯より生まれた戦士の末裔よ」
確かに強そうだ。浅黒い肌に引き締まった肉体。武器は槍か。
「我が名はエキーオーン。剛勇無双の我が先祖の名を頂いた勇者よ。お前のような小娘に用はない。見逃してやるから立ち去るがよい」
私の横でアメンラーがうんうんとうなずいている。こいつ、紳士的だとでも思ってんのか?
「それはいーから早くやろうよ」
楓ちゃんは意に介さず挑発する。
「よかろう。安心しろ。死んでも直ぐに生き返るそうだ。せめて苦しまんように送ってやる!」
数条の光と見紛う神速の突き。あいつ、口だけじゃない。
「さあ、この槍から逃れられるか?」
楓ちゃんはその高速で迫り来る槍の穂先を、パシッと掴んでへし折った。
「いやあ、さすがに穂先とがってて危ないもんねえ」
「貴様、俺を愚弄する気か!」
激昴したエキーオーンは持ってる楓ちゃん事投げ飛ばそうと懸命に槍に力を入れる。だが欠片も動かない。
「何故だ? くそう、どうなってやがる!」
「じゃあこっちから行くよ。よっこら.......しょっと!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
楓ちゃんが逆に槍を使って吹っ飛ばした。エキーオーンは場外に消えていくかと思ったが、なにか見えないものにぶつかってそのまま落ちていった。
「勝者、カエデ・ミナヅキ!」
わーという歓声が場外を包み、私の横のアメンラーは口をあんぐりと開けたまま固まっていた。




