480:ビッグ・アメリカ
ペンテシレイアは女王の名前として受け継がれているという事にしています。
眼下では色んな試合が行われている。先程楓ちゃんの相手になるはずだったアルなんとかさんは別の対戦相手と戦っていた。相手は女性? おっぱい片方ないんだけど? 私の疑問に答えてくれるのはインドラ様。だって素戔嗚尊様は分かってないんだもん、色々。
「あれは今代のペンテシレイアだな」
「ペンネ?」
「パスタじゃない。アマゾンの女王だ」
「通販会社の方.......では無いですよね?」
「当たり前だ。アマゾネスくらい知ってると思ったが?」
ええ、知ってますとも。女性だけの戦闘種族。他のところから男をさらってきて子どもが産まれたら始末するとか。おっぱいが切り落とされてるのは弓を引くのに邪魔だからとか。現に今アルなんとかさんを弓で圧倒してる。
「勝者、ペンテシレイア」
おっ、勝負がついたみたい。女の子って楓ちゃんだけじゃなかったんだな。仲良くしてくれないかなあ?
「それは無理だろう」
「え? なんでですか?」
「やつはアレスの末裔だからな。当然楓はターゲットだろう」
くたばってもろくな事しないな、あいつ。
「はっはっはっ、その通り。どうだ、我が子孫たちは!」
高笑いとともに入ってきたのはアレス。あのー、もう試合終わったなら帰ったら? ボロボロじゃん。
「次期主神たるこのオレが来たのだ。平服して崇めよ」
なんかすごい偉そうなこと言い始めたんだけど、どういう事なの、ゼウス?
「ああ、いや、こいつは勘違いしてるんだよ。ほら、アレス。そんな尊大な態度取らずによく周りを見たらどうだ?」
「周りっていつもの親父の取り巻き.......じゃ.......」
ここに至ってようやく事情が飲み込めたらしい。アレスの顔が青ざめる。
ゼウスと同格の神が一堂に会している事に。そして次の瞬間震えながら平服したのはアレスの方だった。
とまあそんな微笑ましい光景はさておき、舞台上には騎士みたいな格好した男と蛮族みたいな裸の男が対峠していた。
「男はネイティブアメリカンの勇者らしいな。名前はゴルド」
身体も裸の男の方が大きく、ムキムキだ。ザ・バーバリアンって感じ。
「対戦相手はラモラック? 所属不明?」
「あ、それ、うちの子」
ドライアドの? てことはブリテン関係か。え? ああ、イギリスって言うと怒るのよ、ドライアド。
「いくらなんでもあの体格差じゃ勝てないんじゃない?」
「そう思うんなら出しゃしないわよ。まあ見てなさいよ」
えらい得意げだなあ。あっ、試合始まった。試合開始から手に持ったトマホークでゴルドが攻める。暴風のような攻撃にラモラックとやらは防戦一方だ。
「よく見ろ。全部盾で防いでんぞ」
素戔嗚尊様の言う通り有効打はない。ゴルドは業を煮やしたのか距離を取り大きくウーラーラーと叫んだ。そうするとゴルドの身体が一段と膨れ上がった感じだ。
「あれはトーテムの加護だな。バッファローのトーテムだろう」
トーテムポールなら知ってます。でも多分そういう事じゃないよね。トーテム。ある血縁集団と特別な関係をもつ特定の動植物や自然物や自然現象。それがゴルドにとってはバッファローなのだろう。力を借りるみたいな感じ。
「ゥモォーーーーーーーー!」
雄叫びをあげつつゴルドはラモラックに向かって突進した。あの勢いだとあの体格差なら軽く吹っ飛ぶよね? なんで避けないんだろ。もしかして避けれない? そのままゴルドの体当たりが直撃した。




