1156:代表戦
ドレミが君にズンドコ音頭
客の入り的には五分五分かこっちがちょっと多いくらい。なんでかって? だってみんな居心地がいいとかで長居するんだもん! 綺麗な店内で子供を預けてゆっくり出来る。しかも時間で追加料金も発生しない。そりゃ長居するよねえ。客単価も高くないし、回転率も悪い。そのうち席の取り合いで乱闘とかにならないと良いけど。
「うおおー、ズンドコォー!」
ズンドコ音頭だかいう持ち歌の演歌歌手が熱唱しててお歳を召したお姉様方が興奮の坩堝である。近付きたくねえ。イフリートよりも熱くね?
「ドレミがなんとか」
みたいな掛け声の練習を道路でやってる人たちも居る。いや、営業妨害だし、ロリっ子マーチングバンドの出番は演歌歌手が終わってからだから! くそう、新しい客が寄り付かねえ。
ふと見ると弟さんの方の店に客がちらほら。ううっ、この店の前がこんな状態だから客が流れて行ってるんだ……このままだとまずいかなあ。
「まあまあカリカリしても仕方ないじゃない。楽しみましょう」
「え?」
そこには魔女っ子姉さんレミーさんが! なっ、なんで中に入ってるの?!
「いや、普通にお金払って客やってんだから。マスター、このサンドイッチもうワンセットちょうだい」
「はい、ありがとうございます」
売り上げに協力してくれるのは嬉しいけど……なんで堂々と入ってきてるかな。
「敵情視察よ。彼を知り、己を知らば、百戦殆うからずとか言ったっけ?」
「孫子の兵法ですか。あなたのような西洋の魔女が?」
「洋の東西を問わず、賢人と呼ばれる様な人間の言葉は大事にしてるわ」
どうやら敵を見下すようなタイプでもないらしい。厄介ではあるけど交渉の余地はありそうだ。
「本当はあなただけ攫って逃げようかと思ったんだけど、この中術が発動しないのよね」
「ロニさんとニアが結界張ってますから」
「ううん、違うわね。あの二人の結界なら何となく分かるもの。これはもっと強力な……そう、主神クラスの神様の仕業でしょうね」
主神クラスって天照大御神様だもんな。結界を張る事に掛けては定評があるよね。なんせ自分で結界張って岩戸に引きこもってたんだもん。
「もちろん、ウィッカシンボルとか総動員すれば破れない事はないわよ」
うわ、神様の結界破れるとか言っちゃってますけど……
「けど、やった後に女王と宵闇に討たれておしまいでしょうね。分の悪い賭けは好きじゃないのよ」
まあなんだかんだでこっちは戦力揃ってますもんね。
「戦力削ぐ為にチャイナとロシアに動いてもらったのに全然戦力減ってないどころか未確認だった戦力まで湧いてでるんですけど」
「えーと、ごめんなさい?」
頭をぐしぐししながらレミーさんは愚痴る。なんというか大変なんだなあ。
「最悪なのがなんで天使がそっちの味方してんのかって事よ! クリスチャンが天使に刃向かえるわけないでしょ。私はクリスチャンじゃないから平気だけど」
天使……ああ、真那さんか。ミカエルさんもガブリエルさんの味方につくだろうしなあ。
「正直、勘弁して欲しいと思うけど、私も仕事だからね。だからここは代表戦で決着をつけたいのよ」
「いや、私は決着とかつけなくても退いてくれるならそれで」
「時間は一週間後の夜0時。場所は港の廃工場跡地よ」
人の話聞いてませんね? やるとは言ってないんですけど。
「逃げないように毎日見張りに来るわ」
あ、売り上げに貢献ありがとうございます!




