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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第八章 明国編
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何故今こんな話をしなければならないかわかりますか?

「朝か……」

 昨日、あれからまた占いの城に行って……。

 いろいろと学んで、俺の占い力はさらに磨きがかかったんだよな。


 流れでまたこの宿屋に泊まったわけだけど。


 ……もうここは立派な宿屋だよ。掃除も行き届いているし。

 俺の洋服も綺麗に洗濯されていた。

 ここは立派な宿屋だと……認めざるをえないですよ、ミルさん。


「さて、今日の朝ごはんは何かな?」


 クロアは部屋を出て、ゆっくりと階段を下りた。



「今日は美味しそうなパンを作ってみました。それから、シチューをどうぞ」


「はい……」


 まさかこのパン……自作か?

 しかし……何だろうこの違和感は。昨日のあの時からかな。

 少し……いや、より一層ミルさんは俺に対してよそよそしくなった気がする。

 ここまでの変化を起こす理由が、昨日のあの話にあったのだろうか。


「……今日は、また別館に行くんですよね?メーティス様に会いに」


「そうですね。どうやら言われた通り占い力も上がったみたいなので。

食べた終わったらすぐにでも向かいましょうか。ミアちゃんの居場所も聞かないといけないですし」


「では外に出る用意をしなくては。今日も時給分は働かせてもらいますよ」


「ですね……」


 ……それにしてもミルさんは料理もうまいな。



 二人はそれから昨日と同じように協会の別館へと向かった。

 そして同様の行動をして、あの場所であの人との会話が始まった。


「メーティスさん、こんにちは。言われた通り、能力をうまく使い運命を変更してきましたよ」


「じゃあ力が上がったことでしょうね、見せてください」


「では、いつでもどうぞ」


 ……俺の黒☆ガードは発動していない。

 まだメーティスさんよりも、俺には力が足りていないということか。


「……そうですね。中々良い感じです」


「あの、言われたことをやってきたんで、俺の言うことも聞いてもらえますか?」


「いいでしょう。どうやら目的の力はもう得れそうな状況なので」


「人探しと……あとは……」


「わかっていますよ。クロアさんの護衛の方ですよね?」


「わかってるなら話が早いです。ミルさんの能力はもう元に戻らないんでしょうか?」


「……その前にまずは人探しからです。

このアイテムの力をもってすれば簡単にわかるはずです」


 メーティスはキラキラと光り輝く水晶玉を取り出した。


「それは?」


「市販の物より、強い力を持っている水晶玉です」


「それなら、居場所がわかりそうですね」


「……ところでどなたを?」


「それもわかっているのでは?」


「さあ?そこまでは……。大体の目星はついていますが」


 なるほど……?


「中級赤占い師のミアさん、わかりますよね?」


「もちろん存じておりますよ。では……」


 この人は一体どこまで情報を握っているのだろう。



「……やはり黒い霧がかかっていますね」


「そうですね、前に見た時もこれのせいで見れなかったんですよね」


「つまりそういうことです。私の力を持ってしても、見えないんです。わかりました?」


 うんうん。え?


「……ではどうすれば?」


「見えないことは仕方ないのですが。

この黒い霧は先ほどの二つ目の問いに関係していますよ」


「まさか、ミルさんが能力を奪われたことに関係しているんですか?」


「そうです。ミルさんの能力、それは能力で治すことができるはずです」


「え?」


「わかりませんか?治すことができるその能力を」


「奪われた能力を?」


 能力を奪えるのは黒☆チェンジのはずだが?

 それを治せる能力があっただろうか……。


「……仕方ないですね。今が話すべき時かもしれません。白☆チェンジで治せるんです」


「え、白☆チェンジで治せるんですか?」


「そうですよ。白☆チェンジはとても万能な能力なんです。

だからこの世界では、みんな白の神官に憧れてそれを最終目標としているのです。

ここ明国の神官のほとんどが白の神官なのも、その能力があるがためです」


「なるほど」


「ひとつ、説明が必要かもしれません。

とても重要なことです。ですが誰にも言ってはいけませんよ」


「はい……」


 口止めはきついが……重要そうだし、ここは聞くしかないか。


「黒の能力は全部で4つある。ご存じですか?」


「まあ……」

 黒の書のことはしっかりと頭に入っている。


「それと対になる白の能力も全部で4つあるんです」


「……そうだったんですか」

 白の能力も4つ……。


「その全てを今教えましょう。能力は互いに影響しあっているのです。

基本は強い力のほうが勝ち、対になる能力を打ち消すことができます」


 クロアは対になる能力を聞いた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 白☆チェンジ⇔黒☆黒い炎

 白☆未来予知⇔黒☆ガード

 白☆ホワイトホール⇔黒☆ブラックホール

 白☆シーズン⇔黒☆チェンジ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「……そういうことだったんですか」


 通りで俺が白☆未来予知を黒☆ガードしたり、

 俺の黒☆黒い炎をビアさんの白☆チェンジで抑えたりすることができたわけだ。


「白☆ホワイトホールという能力はまさか?」


「そうですね、簡単に言うとクロアさんが元の世界に帰ることができる能力です」


「なるほど……」

 ビアさんが持っているというあの能力だったか……。



「じゃあ早速やってみてもらいましょうか、白☆チェンジを。

今話したことを理解したならばわかったでしょう?原因が」


「黒☆黒い炎が原因……?」


「その通りです……では外にいるミルさんをここに連れてきてください。話もありますし」


「ミルさんを……?」


「とにかく話は、それからです」


 この流れ……。どうにも主導権は相手が握るらしいな……。



 クロアは許可を取り、ミルを外から連れてきた。


「お初にお目にかかります、白の神官メーティス様。

その崇高なお噂は国中で広がっていますわ」


「ありがとう」


 二人は深く挨拶を交わした。


「あの……わざわざミルさんを連れてくる必要はあったんですか?」


「白☆チェンジは相手が近くにいればいるほど力を発揮できる。

知りませんでしたか?」


「えっと……」

 いや、普通に知りませんでしたけど。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 白☆チェンジ

 対象者一人の運勢を変える。力が大きいほど思った通りに変えられる。

 相手が近くにいればいるほど力を発揮できる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「でも今はそんなことではなくて……ミルさんに話があるのです」


「……何か私にお話が?」


 メーティスさんがミルさんに話とは、一体何だろう……?



「……早速ですが私は今、組織に与しています」


「……そうなのですね」


 ここでズバリと言っちゃうんだ。


「協会の神官は、みな好き勝手に能力を使って運勢を変化させているのです。

そしてそれは誰かに指摘されなければわからない。

だから一般人は支配されているも同然。人々は操られているのと同じなのです」


「……」


 ……やっぱりそうなんだ。俺も誰かから支配されてんのかな?

 ガードの能力を上回る力で。

 ……だからエルクさんが言っていたように、俺は自由ではない。

 裏から能力で相手の思うような運勢に仕組まれているってことか?


 だから抗える方法は、力を上げてガードの能力を発動することなわけか。

 ……ボスが言っていたように。

 でもさっきの話を聞く限り、白☆チェンジに対抗するには、黒☆黒い炎が……。


「……ミルさん、わからない?」


「わかりませんね。力を持つものが支配するのは昔から当然のことですよ。

それが協会の神官であれ誰であれ。お金を持つ者が店を支配するのと何ら変わりありません」


「……」

 何だか話が壮大になってきたな。俺はそんなこと割とどうでもいいんだけど。

 運命がどうとか、力が支配とか。もう、なるようになるだろ。

 俺はボスをエルクさんに会わせて、日本に帰るだけで満足だったんだが?

 どうしてこうも事態は複雑化していくのか。何だか今更引くに引けない状況になってきたし。


「クロアさん?何故今こんな話をしなければならないかわかりますか?」


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