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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第八章 明国編
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この三点に気を付ければ、力を最大限に発揮できるんだよな



「話は無事に終わったんですか?」


「まあ、そうですね。手っ取り早く占い力を上げる方法はわかりました。

アイテムを身に着けて、能力をうまく使うだけでいいらしいです」


 クロアはメーティスに貰ったブラックオニキスをミルに見せた。


「それは……とても神秘的なアイテムですね。

やはり神官メーティス様はすごいお力をお持ちのようで」


「まあ、力は感じましたよ。でもこの国の神官はみんなあんな感じなんですか?」


「あんな感じ、とは?」


「真面目で堅苦しい感じ?……というか」


「さあ、それは人それぞれではないですか?

私も直接会ったことはないのでよくは知りませんが」


「……そう言えば、ミアちゃんの居場所を聞くことを忘れてました。

一方的に話をされて終わりましたよ」


「それは仕方ないかもしれませんね。

上からの命令を聞くのが、ここでは当たり前なので。

でも同じ神官ならば普通は対等な立場のはずですが……」


 どうやらここは徹底的に縦社会のようだな……。


「……また明日会うことになるらしいので、明日こそは聞いてみますよ」


 それからクロアとミルは話をしながら、メーティスに言われた通りの場所に赴いた。



 町の外れに位置する、人通りの少ない場所で二人は物陰に隠れていた。


「……それで、話によるとこの辺に来るということですね」


 本当にここに現れるのだろうか。


「10番目の神官……」


 明国の実力10位の白の神官コニィ・トレホン。

 実力はあるのだが、せっかちな性格が順位に災いしているらしい。


 この先にある建物に運勢が悪くなった集団が屯している。

 そこで神官コニィが能力を使い、複数の人間の運勢を一斉に良くして集団の崩壊を目指すらしい。

 ……この能力は対象者に近づかないと使えないという、大きなデメリットがある。

 だからわざわざコニィはここにやって来るんだよな。

 そこで能力を使われる前に、俺の能力でコニィの運命を変えるわけだ。


 俺の力を上げるためとはいえ、その運命を変えてしまって大丈夫なんだろうか。

 どう考えてもこれが成功すれば組織に利があるのは、間違いなさそうだが。


「……本当に神官コニィに俺の能力が通用するんですかね。不安になってきました」


「きっと効果がありますよ。それが今求められていることなんです。

メーティス様のお話を信じましょう」


 やっぱり実力が上の神官の言うことのほうが、正しいと思うんだな。


「……来ました!あれが神官コニィですね」

 ミルは見つからないよう、小さな声で呟いた。


 なるほど、確かに白の神官だ。言われた通りの風貌をしている。


「じゃあ、能力をつかってと……」


 えっと……メーティスさんに能力の説明を聞いたんだよな。

 赤の能力、刹那……。

 複数の人間の運命が絡み合う場合のデメリットを、いかにうまく無くすか。

 そして相手を直接目視で捉えて使うことができれば、効果の有無がすぐにわかる。

 力が無い内は、実行しやすい簡単な運命に変えるのがコツなんだ。

 この三点に気を付ければ、力を最大限に発揮できるんだよな。


 よし……。神官コニィ一人に対して直接見ながら能力を使う。

 あの人に予知能力が無ければ、これはできない芸当だな。

 メーティスさん、今のところは言うことを聞くしかないけど……実力は確からしい。


 白の神官コニィは、この場所から早々に立ち去る。

 白の神官コニィは、この場所から早々に立ち去る。


 クロアはできる限り念じて、赤☆刹那の能力を発動した。


「……これで良いのだろうか」

 いまいち実感がないが。


「メーティス様が言われたのですから、間違いはないはずです」


 その後、クロアの目視の能力にすぐに効果が表れた。


 なるほど……青☆目視にはまだ隠された能力があったか。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 青☆目視

 対象者一人の占いの力の程度を見破る。対象者一人が現在受けている能力を把握できる。

 自分を基準に相手の力量を把握する。力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 数分後、神官コニィはその場から姿を消した。


 青☆凝視で常に監視していたが、能力は使っていなかったようだ。


 ……どうやら運命の変更はうまくいったようだな。

 これで良かったのかはわからないが……。

 俺の占い力が伸びたことはひしひしと感じる。


「……去っていきましたが」


「何とか運命の変更は無事に済みましたよ」


「それでは能力が効いたんですね?神官様相手に通用するとは……」



「ところで、これからどうするんですか?まだ何か命令があったのですか?」


「……それは、もう無いんですけど。ミルさんに少し聞きたいことが。

今朝の組織の話についての続きなんですけど……。

組織が何の為にあんなことをしているか知っていますか?」


「……正直、知りたくもないですね」


「じゃあ協会が実質、運勢を管理していることについては?……どう思ってますか?」


「それが普通ですし、皆の運勢が良くなるのなら良いんじゃないんですか?

誰だってお金持ちになりたいと思うでしょう?」


「でもそれは、勝手だと思いませんか?」


「クロアは知らないからですね。シークスフィアに通えば教えてくれるんですよ。

何故占い師を統括する制度ができたのかを」


「じゃあ、それを教えてくださいよ」


 それからクロアはミルから協会の制度についてを聞いた。

 簡単に纏めると、とても大きな運命によってこういう制度ができた……ということだった。

 それは簡単に変えられるものでもなく、大きな強制力を持っているらしい。



「確かに協会の制度についてはわかりました。

でも……。例えば神官は白の能力、チェンジで人の運勢を良くすることも悪くすることもできる。

その人の気分次第で相手を思うがままにですよ?それは人の運勢を掌握していることに他なりませんか?」


「……確かにそういう考え方も、あるかもしれませんね」


「俺なんかビアさんに、マグマやら何やら障害がある悪い運勢をつけられたんですから」


「そうなんですか……?本当にそんなことを?」


「間違いないです。実際にあの運勢を自分で変えてきたんですから」


「それは何故でしょうかね?恐らく、何か考えがあっての事だと思いますけど」


 あの時は深く考えてなかったけど、今思えば俺を抑えたかったということか?

 俺が黒の炎の能力を使うと知っていたから?でも最初にあった時は確か……。


「ところでここまで組織の事を尋ねるということは、クロアさんは組織に何か関わりでもあるんですか?」


「そうですね、一緒に行動していたらいずればれると思いますし……」


 クロアはミルに簡単に組織との経緯を説明した。



「……だから、俺は組織には入ってないんですけど、その考えはわかるんですよ」


「……そうですか」


「この、俺の考えはわかりませんか?」


「わからないこともないですが、私の考えは変わることはありませんね。

私にとっては協会が絶対的に正義なんです」


「そこまで信頼するのは……何か、あったんですか?」


「……私の両親が運勢を悪くして貧乏になった。

それを協会が救ってくれた。……ただそれだけのことです」


「そうだったんですか。それってミアちゃんが話していた、あの件にも関係が?」


「そうですね。それも協会がしてくれたありがたいことの一つです。

でも、もうこの話は終わりましょう。クロアさんの考えはわかりましたので」


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