それぞれの思い
ビア、エルク、ミアの三人は蛇国の街に着き、一息ついていた。
「ようやく蛇国の街の中心部に着いたか。数日を費やしてしまったが」
「来る途中の砂漠の地は、広大でしたね……」
「ラクダで行けばすぐ、なんて言ったのは一体誰よ?」
「……それ、ビア様じゃなかったですか?」
「……それにしてもミアちゃんはエルクに肩入れしすぎよ?
私の護衛だってことを忘れたの?」
「ごめんなさい……でも」
「こうしてエルクに会えたのも私のお陰でしょ?そしてお金を出しているのも私。
もう少し私の護衛らしくしてくれなきゃ」
「はい……」
「最近の行動はさすがに目に余るわよ?もうエルクのことしか見えていないんじゃない?」
「…………」
ミアは恥ずかしながら俯いた。
「ってそれは最初からか」
「まあまあ、二人とも……」
◇
三人は蛇国のシークスフィア協会蛇国支部を目前に捉えていた。
「まさかこんな場所まで来ることになるなんてね。
ところでその知り合いとやらは、本当にここにいるんでしょうね?」
「ああ、彼女は昔からの友人なんだ。同じシークスフィア功国校出身の同級生でね。
この国で神官になってからは、私も一目置いている存在なんだ」
「その神官様のお名前は何ていうんですか?」
「シアラ・トゼヒョだ」
「シアラ……?あまり聞いたことのない名前ね」
「そうかい?まあ当時は私と君のお姉さんの方がずっと有名だったからね……」
「ベア……」
ビアは名前を言いかけて、口を紡いだ。
「……やっぱりエルク様はすごいですね。神官のご友人がいるなんて。
どんな人なのか気になります……」
「神官の友人なら私にもいるわよ?
でも今回はエルクがどうしてもっていうから、話に乗っただけで」
「そう……ですね」
「はあ……その反応の無さよ?さっきから指摘していることは」
「すいません……」
「シアラに会えたら、早速二人の居場所を聞いてみることにしよう。
シアラの力があれば確実にわかるはずだし、我々に色々と協力してくれることだろう」
「だといいのだけどね……」
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時を同じくして、風国ではエミール、レナーテの二人がロルドの家の前で話していた。
「レナーテちゃん、本当に行くんですか?」
「そう……。そのために情報を集めたんだから、今日こそは直接……」
「大丈夫ですかね?」
「やると決めたらからには、しっかりやり遂げなきゃ」
「随分と積極的だなあ……」
意を決して、二人は家の玄関ドアをノックした。
◇
数秒後、家の扉はゆっくりと開いてアイが姿を現した。
「……すいませんアイ先輩、突然押しかけてきて。今日はどうしても聞きたいことが」
「もう、私たちは情報を掴んでいるんですよ。アイさんが組織の一員だってことを。
たくさんの情報がそれを証明しているんです」
レナーテは力強く言った。
「そうなんだ。確かに……私は組織の一員だけど?」
「……意外とあっさりと認めましたね?」
「最近私の周りをこそこそ嗅ぎまわっていたでしょ?
私はいいけれど、組織の力を甘く見ると痛い目見るよ?
もうこれ以上君たちが首を突っ込むのは、やめておいたほうがいいと思うよ?」
「ですが……」
「情報を掴んだんならわかるでしょ?
協会に属していて、組織にも属している者は私以外にも大勢いるんだよ。
それとも何か私に聞きたいことでもあったの?」
「それは……」
「確かに、アイさんが組織に入っていることは……。
それ自体は別にいいんですけど、一つだけ聞きたくて。
先日、青い鳥の像が盗まれた事件にもアイさんは協力していたんですか?」
「……やったよ?でも別に悪いことじゃないんだよ」
「やっぱり……」
「そうだ、どんな内容だったのか二人にも教えてあげるよ。
組織の詳しいこともね。情報屋に聞くだけじゃ真実はわからないだろうから」
アイは二人に詳しく組織のことを説明した。
多少の言い争いも起きたが、アイはうまく理由をつけて二人を納得させた。
◇
「そういうことだったんですね……」
「じゃあ今度私と一緒についてくる?組織の活動を実際に見てみればもっとよくわかるよ。
それにもうすぐ一つの大きな作戦が始動するの」
「レナーテちゃん?どうします……?」
「大きな作戦ってまさか」
「そうだよ、大神官にボスが直接抗議をしに行く。
今、各国にいる組織の面々が明国に続々と集まっているんだよ。
これがうまく終われば、きっと組織は協会と一つになるだろうね」
「それは……」
「とにかく今度の作戦の話も聞いていってよ。きっと二人にも組織の良さがもっとわかるからさ」




