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無能と追放されたお針子令嬢、神の裁縫チートで無双する〜呪われ公爵様にハグ専用服を作ったら限界突破で溺愛されました〜  作者: 月神世一


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専属お針子契約と、ポポロ・コーポでのドキドキ同棲(?)生活

専属お針子契約と、ポポロ・コーポでのドキドキ同棲(?)生活

「頼む、リゼット。俺の服を……俺の全てを、一生君に仕立ててほしい。君が俺を思い切り抱きしめられる『最高の服』を縫い上げるまで……俺のそばに、いてくれないか!?」

アバロン魔皇国が誇る最強の呪われ公爵・ギデオン様からの、あまりにも熱烈な言葉。

夕日に照らされたタローマンの駐車場で、彼は私の袖口(布越し)を両手で包み込み、ルビーのような瞳で私を真っ直ぐに見つめていた。

その真剣な眼差しに、私の心臓はドクンと大きく跳ねた。

「い、一生、私の服を……?」

「ああ。君の服だけが、俺を呪いの孤独から救ってくれた。君以外の服など、もう二度と着たくない」

「それって、つまり……!」

私はゴクリと息を呑み、そして満面の笑みでガッツポーズをした。

「つまり、私を『専属のお針子』として雇ってくれるってことですよね!? やったー! 追放されて一時間で、超太っ腹なパトロン(雇用主)が見つかりました!」

「……え?」

「お任せください、ギデオン様! お給料さえいただければ、春夏の新作から寝具まで、あなたのクローゼットを私が責任を持ってプロデュースさせていただきます!」

「あ……えっと……そ、そうだな。専属契約……うん、間違ってはいない、が……」

なぜかギデオン様は少しだけ肩を落とし、遠い目をしていた。

そんな彼の背後で、リーザちゃんが「公爵様、ドンマイですの……うちのプロデューサー、服のこと以外は致命的にポンコツですの……」と哀れみの視線を向けている。

「ちょっと待ったぁぁぁぁっ!!!」

そこに、ダブルトンファーを構えたキャルルちゃんがズカズカと割り込んできた。

彼女は私を背中に庇うように立つと、ギデオン様をギロリと睨みつけた。

「アバロンの公爵様だか何だか知らないけど、うちの可愛いリゼットを勝手に魔皇国にお持ち帰りしようだなんて許さないわよ! この子はポポロ村の立派な村民(さっき移住の受付した)なんだから!」

「む……俺はただ、彼女のそばにいたいだけで……」

「どうしてもリゼットに専属で服を作ってほしいなら、あんたがこの村に住みなさい! ちょうど村の独身アパート『ポポロ・コーポ』の104号室が空いてるわ。家賃は光熱費込みで月額金貨三枚(約三万円)! もちろん、敷金礼金はきっちりいただくわよ!」

アバロン魔皇国の筆頭公爵に向かって、家賃三万円の木造アパートへの入居を突きつける村長。普通なら不敬罪で首が飛ぶ場面だ。

しかし、ギデオン様は私の縫ったダボダボのスウェットの襟元をギュッと握りしめると、これ以上ないほど真剣な顔で頷いた。

「分かった。そこに住もう。リゼットのそばにいられるなら、王宮だろうが馬小屋だろうが構わない」

「えっ、本当に住むの……?」

「あ、あの、ギデオン様? ポポロ・コーポは一階の共同浴場と食堂以外は、ただの1LDKの狭いお部屋ですよ……?」

私が慌てて止めようとするが、彼は「君と同じ屋根の下で暮らせるなら、それ以上の贅沢はない」と(なぜか少し耳を赤くしながら)言い切ってしまったのだった。

 ◇ ◇ ◇

というわけで、怒涛の展開の末。

私たちは今、ポポロ・コーポの一階にある木造の共同食堂で、夕食のテーブルを囲んでいた。

「わぁ……美味しそう! タローマンで買ってきたロックバイソンの挽肉で作ったハンバーグです!」

「わたくし、お肉の匂いを嗅ぐのなんて一ヶ月ぶりですの……! スパチャ(食費)を出してくれたギデオン様に感謝ですの!」

ジュージューと音を立てる鉄板に乗った、濃厚なデミグラスソースたっぷりのハンバーグ。

リーザちゃんは感動の涙を流しながらナイフとフォークを握りしめている。

私もさっそく……と思ったが、ふと隣の席を見ると、ギデオン様がカチコチに固まっていた。

スウェット姿の超絶美形公爵は、フォークを握ったまま、ハンバーグと自分の胸元を交互に見て小刻みに震えている。

「あの、ギデオン様? お口に合いませんか?」

「……いや、違うんだ。その、とても美味しそうなのだが……」

彼は情けないほどに眉尻を下げて、フルフルと首を横に振った。

「もし、ソースが跳ねて……この服が汚れてしまったらと思うと、恐ろしくて口に運べないんだ」

「えっ?」

「これは、リゼットが俺のために初めて作ってくれた、世界で一番大切な服だ。それに、この布が俺の呪いを抑え込んでくれている。もしソースの汚れから布が傷み、君たちに呪いが漏れてしまったら……」

そう言って、彼はギュッと目を瞑ってしまった。

なるほど。彼は数十年間、食事のたびに『周りのものを腐らせないか』と極度の緊張状態にあったのだ。それに加えて、私が作ったスウェットを国宝か何かのように大切に思ってくれているらしい。

嬉しいけれど、これじゃあせっかくの温かいご飯が冷めてしまう。

「もう。ギデオン様ってば、心配性ですね」

私はふふっと笑うと、裁縫箱から綺麗な真っ白の端切れを取り出した。

そして、ポケットに入っていた針と糸で、ササッと四方の端を縫い上げる。

(ギデオン様が、安心してご飯を食べられますように。『絶対防汚』と『撥水』の概念付与……よしっ!)

数分で仕立て上げた特製の手縫いハンカチ。

私はそれを手に取ると、固まっているギデオン様の正面に回り込んだ。

「失礼しますね」

「あっ……リ、リゼット……っ!?」

私が彼の首元に腕を回すと、ギデオン様はビクゥッ!と肩を跳ねさせ、顔をボンッと真っ赤に爆発させた。

呪いの熱が少し上がったのか、首元に触れている私の袖口がチリッと小さく焦げる。やっぱり、彼に触れるとドキドキしてしまう。

私は焦げを気にしないフリをして、彼の首元にハンカチを前掛け(エプロン)のようにキュッと結んであげた。

「はい、これで大丈夫です!」

「こ、これは……?」

「私の作ったハンカチです。『絶対に汚れない概念』を縫い込んであるので、いくらソースが跳ねてもツルンッと弾いてくれますよ。だから、服が汚れる心配はしないで、たくさん食べてくださいね」

私がニッコリと微笑むと、ギデオン様は目を丸くした後、ハンカチの端をそっと撫でた。

「……君は、まるで魔法使いだな」

「お針子ですよ。さあ、冷めないうちにどうぞ!」

ギデオン様は恐る恐るフォークを突き刺し、ハンバーグを口に運んだ。

咀嚼した瞬間。彼のルビーの瞳から、再びポロポロと大粒の涙が溢れ出した。

「ギ、ギデオン様!? やっぱり美味しくなかったですか!?」

「違う……違うんだ。温かい……肉が、温かくて、味がする……っ」

彼は涙を拭いもせず、子供のようにハンバーグを頬張った。

呪いの鎧を着ていた頃は、食事の味すら真っ当に感じられなかったのだろう。彼が心から安心して食事を楽しんでくれている姿を見て、私の胸の奥もじんわりと温かくなった。

夕食後。

食後の陽薬草茶を飲みながら、私はギデオン様に今後の打ち合わせを持ちかけた。

「さて、雇用主様! 今のスウェット生地じゃ呪いを完全に防げませんし、私が直接触れようとすると焦げちゃいますからね。まずは、どんな服から作っていきましょうか? 丈夫な普段着? それともお出かけ用のコート?」

私がワクワクしながらメモ帳を開くと、ギデオン様は少しだけ姿勢を正し、真剣な表情で私の目を見た。

「リゼット。俺は……『礼服』が着てみたい」

「礼服、ですか? タキシードみたいな?」

「ああ。俺は呪いのせいで、夜会や公式の場に真っ当な姿で出たことがない。ずっと黒い化け物として恐れられてきた。でも……君が俺を人にしてくれたから」

ギデオン様は、布越しに私の指先をそっと握った。

チリッ、と布が焦げる匂いがする。でも彼は、とても愛おしそうに私を見つめていた。

「俺は、君に『最高の礼服』を作ってほしい。君を夜会にエスコートし……君の手を素手で握って、思い切り君を抱きしめても、絶対に呪いが漏れ出ないような、完璧な服を」

「ギデオン様……」

「俺は、君に触れたいんだ。……ダメだろうか?」

布越しに伝わってくる、彼の手の微かな震えと、切実な熱。

こんなに真っ直ぐに求められて、服飾オタク……いや、一人の女の子として、断れるわけがない。

「ダメなわけ、ありません。絶対に作ってみせます!」

私はギュッと彼の手を握り返した。

「でも、タローマンの布じゃ限界があります。公爵様の呪いの出力を完全に上回って、私が素手で触れても、力いっぱいハグしても絶対に焦げない服を作るには……『世界樹の糸』みたいな、神話級の激レア素材が必要になりますね……」

私が腕を組んで唸っていると。

バンッ!! と食堂の扉が勢いよく開け放たれた。

「聞こえましたわよ、リゼットさん!!」

「えっ?」

そこに立っていたのは、なぜか目をギラギラと「¥」マークのように光らせたリーザちゃんと、見慣れない金髪の美少女だった。

金髪の少女は、頭の上に光る天使のエンジェルリングを浮かべながら、ニヤリと口角を上げる。

「アンタが、そのヤバい防御力の服を作ったっていうお針子ちゃん? アタシはキュララ! ちょっとアタシのビジネス(配信)に協力してくれない?」

「わたくしたちにお任せくださいですの! リゼットさんが服を作ってくださるなら、わたくしたちが世界中のスパチャを巻き上げて、世界樹の糸でも何でも買ってきますのーーっ!!」

最強の服を作るための、最強にカオスな仲間バウンティハンターたち。

私の平穏なお針子ライフは、どうやらまだまだ波乱に満ちているらしい。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

「公爵様、スウェットにご飯こぼすのビビってて可愛いw」

「ハンカチのエプロン尊い……」

「ハグするための礼服作り、胸アツ!」

と少しでも楽しんでいただけましたら、

ぜひページ下部にある**【★★★★★】の評価と、【ブックマークに追加】**をお願いいたします!

読者の皆様の評価ポイントが、リーザちゃんとキュララちゃんのスパチャになり、公爵様の礼服の素材へと変わります!

次回、ついに天使のゴッドチューバー・キュララちゃんが本格参戦!

リゼットの作った服を着た彼女たちが、とんでもない配信で大暴れ……!?

明日も更新予定ですので、ぜひブックマークをしてお待ちくださいませ!

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