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無能と追放されたお針子令嬢、神の裁縫チートで無双する〜呪われ公爵様にハグ専用服を作ったら限界突破で溺愛されました〜  作者: 月神世一


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限界突破の溺愛ハグ! もう絶対に、君をこの腕から離さない

限界突破の溺愛ハグ! もう絶対に、君をこの腕から離さない

「覚悟はいいか、リゼット」

逃れられない甘い声が、私の耳を打った。

背中は壁。目の前には、白銀のタキシードを完璧に着こなした、恐ろしいほどに美しいルビーの瞳の貴公子。

「あ、えっと……ギ、ギデオン様? 少し、お顔が近いような……」

「遠すぎるくらいだ。俺にはもう、君との間にある一ミリの隙間すらもどかしい」

ギデオン様は、長い腕を私の背後に回し――そのまま、私の体をすっぽりと包み込むように、力強く抱き寄せた。

「っ……!」

ドンッ、と。

私の鼻先が、彼の分厚い胸板にぶつかる。

ギデオン様の大きな両腕が、私の背中と腰をしっかりとホールドし、私の体が彼の体温に完全に密着した。

チリッ、というあの嫌な焦げ臭い匂いは、全くしない。

代わりに鼻をくすぐったのは、お日様のような清潔な香りと、彼自身の微かな男らしい匂い、そして白銀のタキシードから放たれる清浄な魔力の気配だけ。

「あ……」

抱きしめられている。

アバロン魔皇国の筆頭公爵であり、触れるもの全てを腐らせると恐れられた最強の男に。

骨が軋むほどに力強いのに、まるで壊れ物を扱うかのように繊細で、震えるほどの愛おしさが伝わってくる、完璧な『ハグ』だった。

「リゼット……リゼット……っ」

私の首筋に顔を埋めたギデオン様が、泣き出しそうな声で何度も私の名前を呼ぶ。

「温かい……。君の体温が、鼓動が、布越しではない君の存在が……はっきりと分かる」

「ギデオン、様……」

「俺は、ずっと狂いそうだった。君が俺のために服を縫ってくれる横顔を見るたび、君が優しく微笑みかけてくれるたび……君のその細い肩を抱きしめ、髪に触れ、俺のものだと世界中に叫びたかった」

彼の言葉には、数十年間抑圧され続けてきた強烈な孤独と、それを埋めて余りあるほどの巨大な愛(執着)が込められていた。

以前の、スウェット生地越しに触れただけの時とは全く違う。

彼の中にある限界を超えた熱情が、そのままダイレクトに私へと注ぎ込まれているのだ。

「もう我慢しない。いや、我慢できない。俺は君の全てを奪う」

ギデオン様は私の背中に回した腕にさらに力を込め、私を自分から絶対に逃がさないように抱きすくめた。

「君が嫌だと言っても、絶対に離さない。俺の命も、財産も、爵位も、すべて君に捧げよう。だから……君の隣は、未来永劫、俺だけのものだと言ってくれ」

耳元で囁かれる、極甘で、少しだけ病的なほどの重い愛の告白。

普通の女の子なら、その執着の重さに怯えてしまうかもしれない。

でも、私は服飾のオタクで、彼のお抱えの『専属お針子』なのだ。

「ふふっ」

「……リゼット? な、なぜ笑うんだ? 俺が重すぎて、引かれただろうか……」

「違いますよ。ただ、なんだかギデオン様らしいなって思って」

私は、彼の背中にそっと両手を回した。

白銀のタキシードの滑らかな生地越しに、彼のがっしりとした背中の筋肉を感じる。私が縫い上げた、最高に美しい背中のラインだ。

私はその背中を、ポンポンと優しく叩いた。

「嫌だなんて、言うわけないじゃないですか。私はギデオン様の『専属お針子』ですよ?」

「……!」

「季節が変わるたびに新しい服を作らなきゃいけないし、採寸だって定期的にしなきゃいけないんです。私があなたの隣にいなくて、誰があなたの服を仕立てるんですか」

私が背中に回した手にキュッと力を込めてハグを返すと、ギデオン様の体が大きくビクンッと跳ねた。

「だから、一生そばにいます。私に、ずっとあなたの服を作らせてください」

私がそう宣言した瞬間。

「あぁぁっ……リゼット、俺の、愛しい人……っ!」

ギデオン様の理性のタガが、完全に、音を立てて外れ(限界突破し)たのが分かった。

彼は私を抱きしめたまま、ひょいっと軽々と抱き上げた。

足が床から離れ、私はすっぽりと彼の腕の中に収まってしまう。

「ひゃっ!? ギ、ギデオン様!?」

「もう歩かせない。君の足が疲れる。君のその美しい手は、俺の服を縫うためだけに使ってくれればいい。それ以外のすべては、俺が君を甘やかし、世話を焼こう」

「い、いや、さすがに歩かないと運動不足になっちゃいます!」

「ならば俺が抱いたまま散歩に出よう。君には、世界中の最高級の絹と、あらゆる宝石を集めたアトリエを贈ろう。君が望むものすべてを、この足元にひざまずいて捧げる」

ダメだ、この公爵様、完全に愛のストッパーが壊れている。

呪いという枷が外れたことで、彼の中に溜まっていた巨大な『愛情』が、ものすごい勢いで私に降り注いでくる。

「(……はい、そこまで! これ以上はおアツすぎて見てられないわ!)」

部屋の入り口から、パンパン!と手を叩く音がした。

キャルルちゃんだ。

彼女は、鼻血を押さえながら「公爵様のあんなお顔……有料チャンネルの特大コンテンツですのーっ!」と叫ぶリーザちゃんの首根っこを掴み、「ちぇーっ、もっとイチャイチャ見せてよー!」とブーブー文句を言うキュララちゃんの背中を押している。

「あんたたち、空気を読みなさい! ほら、美味しいお肉の出前でも頼んで女子会するわよ! リゼット、あとは若い二人でゆっくりね!」

「あ、キャルルちゃん……っ!」

バタンッ。

気の利く村長の手によって、部屋の扉がピシャリと閉められた。

静寂が戻った部屋の中。

残されたのは、私と、私を腕の中に抱きかかえたままの、美しき白銀の公爵様だけ。

「……ギデオン様、みんな出て行っちゃいましたよ」

「ああ。ポポロ村の村長には、後でアバロンの国家予算並みの寄付金を送っておこう」

「村長が泡吹いて倒れるのでやめてあげてください」

私がクスクスと笑うと、ギデオン様も釣られたように、とても穏やかで、幸せそうな笑みを浮かべた。

「リゼット」

「はい」

「……君に、触れてもいいだろうか」

彼は抱きかかえていた私を、そっとベッドの縁に下ろした。

そして、彼自身は私の前に片膝をつき、まるで女神に祈りを捧げる騎士のように、私の右手を両手で包み込んだ。

手袋越しではない。呪いの熱もない。

彼自身の、少しひんやりとして、けれど確かに生きている人間の、優しい温もり。

「もちろん。この服は、そのために作ったんですから」

私の許可を得て、ギデオン様は私の手の甲に、そっと、羽根が触れるような優しいキスを落とした。

「愛している。俺の命がある限り、君だけを愛し、君を守り抜くことを誓おう」

それは、世界で一番甘くて、重くて、そして幸せな誓いの言葉。

家からも婚約者からも無能と捨てられ、たどり着いた辺境の村。

そこで銅貨一枚の安布を買った日から始まった、私の数奇なお針子ライフ。

どうやら私は、私が作った「ハグ専用」の最高の服によって、世界一過保護で、世界一美しい公爵様からの、永遠に終わらない『限界突破の溺愛』を手に入れてしまったらしい。

(えへへ。これからは、もっとたくさん素敵な服を作ってあげなきゃね)

私は、私を熱い瞳で見上げるギデオン様の銀髪を、今度は布越しではなく、直接素手で、思い切りワシャワシャと撫で回してあげるのだった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

皆様の応援のおかげで、ついに二人の想いが結実する最高潮ハグまで駆け抜けることができました!

「タイトル回収キターー!!」

「公爵様の激重溺愛、最高すぎる……!」

「リゼットちゃんも満更じゃないの可愛い!」

「親友トリオの退場ナイスww」

と、二人の幸せな結末に少しでもキュンキュンしていただけましたら、

ぜひページ下部にある【★★★★★】の評価と、【ブックマークに追加】を押して応援をお願いいたします!!

皆様の評価ポイントが、今後の二人のイチャイチャと、リゼットのアトリエの資金になります!

次回、第1章の最終話!

呪いが解けた公爵様と一緒に、ポポロ村での新しい、そして超セレブでドタバタなお針子ライフが幕を開けます!

明日も更新予定ですので、ぜひブックマークをしてお待ちくださいませ!

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