第7話:天使、ついに一歳になる
第7話:天使、ついに一歳になる
パパの国家機密書類をカッチカチの
神話級にしてしまった
あの大事件から、月日は流れ。
私は、大きな節目を迎えていた。
(ついに……ついにこの日が来たわ!)
エヴェレット公爵家の
私の部屋には、
朝から見たこともないような
最高級のシルクのドレスや、
山のような宝石、おもちゃが
これでもかと運び込まれている。
そう、今日は私の
――1歳の誕生日。
前世では病室のベッドの上で、
寂しく迎えるはずだった19歳。
だけど今世では、
信じられないほどたくさんの愛に
包まれて、1歳を迎えることができた。
(神様との約束の『1歳』。
……長かったような、
あっという間だったような……)
この1年間、私は
「家族にチートがバレたら
パパやお兄様が世界を滅ぼしかねない」
という恐怖から、
必死に普通の赤ちゃんを装ってきた。
ハイハイの時にちょっと
スピードが出すぎそうになったら
わざと転んでみせたり。
頭の上をパタパタ飛ぶ折り鶴を
メイドさんに見つかりそうになって、
大慌てで口の中に入れて
おしゃぶりのフリをしたり。
(※絶対に破れない紙なので無傷だった)
我ながら、涙ぐましい隠密努力を
重ねてきたのである。
「オリカァァァ! 我が家の天使!
ついに1歳だな!
おめでとう、おめでとう……っ!
パパは嬉しくて昨夜は一睡も
できなかったぞ!」
バタンと扉を開けて
飛び込んできたパパは、
すでに感極まって
ハンカチで涙を拭っている。
「あなた、主役のオリカより先に
泣かないでちょうだい。
オリカ、お誕生日おめでとう。
今日はお母様が、
皇国中の仕立て屋を買い叩いて
一番可愛いドレスを作らせたわ」
「オリカ、1歳の誕生日おめでとう。
僕からのプレゼントは、
これだよ。……僕の家庭教師に
頼んで、初級の『魔力測定器』を
譲ってもらったんだ」
お兄様が誇らしげに掲げたのは、
大人の手のひらサイズの、
綺麗な水晶玉だった。
「この国では、1歳になった子供の
魔力を測って、将来の属性の
参考にする儀式があるんだ。
オリカはどんな属性かな?
パパの火や、ママの水かな?」
(……えっ!? 魔力測定!?)
私はおしゃぶりを口から
ぽろりと落とした。
そんなの聞いていない。
私のMP(魔力)は【∞(無限)】だ。
空気中の魔力を自動吸収する
永久機関なのだ。
そんなヤバい怪物を、
ただの市販の測定器に入れたら
一体どうなってしまうのか。
(待って待って! 1歳になったから
隠さなくていいとはいえ、
測定器に触った瞬間に
大爆発してチートがバレるのだけは
勘弁してーーーっ!!)
誕生日パーティーの開始直前、
私は人生最大のピンチに
直面するのだった。




