第80話:決定! 私たちの新しい先生
ノワールがすっかり懐いている姿を見て、お父様とお母様は満足そうに頷き合った。
「ハルト殿、見事な見解だ。型通りの理論に囚われず、娘の本質をこれほど正しく理解してくれた者は初めてだよ」
「ええ。オリカの瞳を見れば分かりますわ。とても安心しているようです」
お父様の重厚な声とお母様の穏やかな笑顔に、エリアスは恐縮したように頭を下げた。
そこへ、これまで腕を組んで厳しく見定めていたお兄様が、ふっと表情を緩めて歩み出る。
「僕からもお願いしたい。妹は大切な宝物なんだ。彼女の笑顔と才能を、君になら安心して預けられる」
「ルファス様……ありがとうございます。身に余る光栄です」
家族全員の意見が一致したところで、お父様が私の方へと視線を向けた。
「さあ、オリカ。決めるのはお前自身だ。エリアス・ハルト殿を、お前の専属家庭教師として迎えてもよいか?」
私は立ち上がり、膝の上の折り紙をぎゅっと握りしめてから、満面の笑みで答えた。
「はい! エリアス先生、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそ、オリカ様。共にたくさんの新しい扉を開いていきましょう」
エリアスが優しく手を差し伸べ、私はその温かな手を取り握手を交わした。
『わふっ!』
ノワールが高らかに喜びの声をあげ、応接室は温かな拍手と笑顔で満たされる。
こうして、波乱に満ちた面接試験は最高の形で幕を閉じ、私の7歳からの新しい学びの日々が始まるのだった。




