第74話:暴かれた本性と、退場劇
「め、滅相もございません! 何かの間違いです! たかが子どもの玩具のような紙細工に、いったい何が分かるというのですか……!」
ベルガーは青ざめながらも、必死に取り繕おうと言葉を荒らげた。
だが、その焦りこそが何よりの証拠だ。
「子どもの玩具、ね。……我が妹オリカの魔法を愚弄した罪は重いよ」
冷ややかな声とともに、お兄様が指先を軽く振る。
青白い光の縄が瞬時にベルガーの両腕を縛り上げ、その場に縫い止めた。
「うぐっ……!? こ、こんな無礼が許されると……!」
「無礼なのは貴様の方だ、ベルガー殿」
お父様が氷のように冷たい視線で男を見据える。
「先ほどから私の部屋の美術品ばかりを品定めするように見ていたな。前の屋敷を辞めた理由を隠すその慌てぶり……まさか、前科のある盗難や横領を我が家でも企んでいたのではないだろうな?」
「ひっ……!? な、なぜそれを……あっ!」
お父様の鋭い追及に、ベルガーは自分から口を滑らせて顔面を蒼白にした。
カマをかけられたことにも気づかないほどの狼狽ぶりだ。
「我が娘を欺こうとするばかりか、下心を持って屋敷に潜り込もうとする不届き者など、一秒たりとも置く気はない。衛兵、連れて行け」
「はっ!」
お母様も冷徹な視線を向ける中、ベルガーは警備兵によって引きずられるように部屋から連行されていった。
『ふんっ!』
ノワールが勝ち誇ったように小さく鼻を鳴らす。
「オリカ、よく見抜いたね。初手から見事な観察眼だったよ」
お兄様に頭を撫でられながら、私は「まだまだこれから!」と気を引き締めるのだった。




