第71話:あれから5年――7歳の私と特別講師の募集
あたたかな温室の日々から、早いもので約5年の歳月が流れた。
私はすくすくと成長し、7歳になった。
相棒のノワールも少し大きくなり、今では立派で賢い黒狼犬のような佇まいで、いつも私の隣をしっかり守ってくれている。
(そういえば、お兄様も13歳で『王立魔導学院』に入る前、すごく優秀な家庭教師やマナー講師の先生たちに教わっていたっけ……)
当時10歳だったお兄様が、一流の先生たちから厳しい英才教育を受けて見事に成長していった姿は、今でもよく覚えている。
15歳になった今ではすっかり立派な青年貴族となり、学院でも注目のエリート生だ。
(私も7歳になったし……お兄様みたいに、すごい先生が来てくれるのかな?)
そんなことを考えていた朝、私はお父様の執務室へと呼び出された。
部屋に入ると、お父様とお母様、そして学院の制服に身を包んだお兄様が、真剣な面持ちで私を迎えてくれた。
「オリカ、7歳のお誕生日おめでとう!」
「ありがとう、お父様、お母様、お兄様!」
もう舌足らずな赤ちゃん言葉ではない。
すっかり流暢にお話しできるようになった私を見て、お父様は満足そうに目を細めたあと、机の上に分厚い書類の束をトンと置いた。
「オリカ。6年後の学院入学に向け、お前にも一流のマナーと教養を教える【専属家庭教師】を雇うことにした。条件は厳しく設定し、公爵家の名に相応しい者たちを書類選考で集めた」
「でもね、オリカ。書類の経歴がどれほど立派でも、本人の裏の人格までは見抜けないものよ」
お母様が優しく微笑みながら、私に視線を合わせる。
「そこでオリカ、今日の面接にお前も立ち会い、自分の目で先生を見極めてほしいのだ」
「はい、お父様、お母様! 私、しっかり見極めます!」
私が背筋を伸ばして力強く頷くと、足元のノワールも心強い相棒として静かに寄り添ってくれた。
(お兄様の時みたいな素晴らしい先生を見つけるぞ……!)
こうして、公爵令嬢オリカの専属講師を決める、波乱の面接試験が幕を開けるのだった。




