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第70話:あたたかな夕暮れと、未来への一歩
温室から戻ったあと、出来上がった魔法のしおりをお父様とお母様へ手渡した。
「オリカ、これを私に……? ああ、なんと素晴らしい……執務室で大切に使わせてもらうよ!」
「まあまあ! なんて綺麗な花色かしら。本を開くたびに心が温かくなるわ、ありがとうオリカ」
お父様とお母様は、宝物のようにしおりを抱きしめて満面の笑みを浮かべた。
お兄様も横で嬉しそうに頷いていて、部屋の中は優しい幸福感で満たされている。
(喜んでもらえて本当によかった……!)
『くぅ~ん♪』
私の足元で、ノワールも満足そうにしっぽを振っている。
窓の外を見ると、夕日が空を茜色に染め上げていた。
前世の孤独だった日々とは違い、ここには私を心から愛し、大切にしてくれる家族がいる。
不思議な折り紙の魔法と、賢い相棒のノワール。
この温かな場所を守りながら、もっとたくさんの人を笑顔にしていきたい。
(これからも、みんなと一緒に楽しく過ごせますように)
夕暮れの優しい光に包まれながら、私は胸の中で静かに祈りを捧げた。
公爵家で過ごす穏やかな日々と、家族のあたたかな絆。
幼き日の幸せな記憶を胸に刻み、小さな少女は健やかに、次の季節へと歩みを進めていくのだった。




