第69話:温室のプレゼントと、家族の絆
「オリカ……ありがとう、一生の宝物にするよ!」
お兄様はしおりを胸に抱きしめ、目頭を熱くさせながら私をぎゅっと抱きしめてくれた。
読書や勉強で目を酷使しがちなお兄様だからこそ、使ってもらえたら嬉しいな。
(ふふっ、喜んでもらえてよかった♪)
すると、足元でノワールが『くぅ~ん』と私の服の裾を小さく引っ張った。
見下ろすと、ノワールの前足のそばには、温室の奥に咲いていた黄金色と深紅の鮮やかな花びらがちょこんと置かれている。
『わふっ!(これ、パパとママの!)』
(ノワール、気が利く~!)
私はノワールの頭を撫でてあげてから、ポシェットから新しい魔導折り紙を取り出した。
お父様には仕事の疲れを癒やす黄金色のしおりを、お母様には心がふんわり落ち着く深紅のしおりを、手際よく丁寧に折りあげていく。
ふうっ……と息を吹きかけると、ぽわんと温かな光が灯り、二つの特別な魔法のしおりが完成した。
「これ、パパとママの!」
「あぁ……! 父上と母上の分まで作ってくれたのかい? オリカは本当に、世界で一番優しくて賢い妹だよ……!」
お兄様の満面の笑顔と、誇らしげに胸を張るノワール。
色とりどりの花と緑に囲まれた温室の中で、私たちのあたたかな笑い声が優しく響き渡るのだった。




