第68話:温室の花びらと、光るしおり
拾い上げた瑠璃色の花びらは、手のひらの上でほんのりと冷たく、澄んだ魔力を帯びていた。
(この花びら、ただ綺麗なだけじゃなくて魔力がすごく安定してる……!)
私はポシェットから、お父様とお兄様が用意してくれた特製の魔導折り紙を一枚取り出した。
落ちていた花びらを紙の中央にそっと挟み込み、丁寧にしおりの形へと折っていく。
(読書が好きなお兄様のために、目が疲れない魔法のしおり!)
仕上げに、ちっちゃな口でふうっ……と息を吹きかけた。
ぽわんっ……♪
すると、折り紙のしおりは瑠璃色の花びらと一体化するように淡い光を放ち、清涼な風のような香りを漂わせ始めた。
「あぅ! にぃに、はい♪」
完成したばかりのしおりを両手で差し出すと、お兄様は目を見開いてその場に膝をついた。
「僕に……? オリカ、これを僕に作ってくれたのかい……!?」
お兄様がおそるおそる受け取ると、しおりから柔らかな光が広がり、お兄様の体をふわりと包み込む。
「なっ……! 頭がすっきりと冴え渡り、視界がクリアになる……! 集中力を高め、精神疲労を完全に遮断する超高精度の付与魔法……!?」
『わふっ♪』
ノワールが得意げに尻尾を振る横で、お兄様は感極まった様子でしおりを胸に抱きしめ、今にも泣きそうな笑顔を浮かべるのだった。




