第56話:過保護たちの防衛作戦と、見守る母
「ぐぬぬ……エレノアの言う通りだが、しかし……!」
「父上、相手を突っぱねるだけでは不審がられます。……ならば、向こうから調査に来させる形にして、僕たちが完璧にガードするというのはどうでしょう!」
お父様とお兄様は、机を挟んで真剣な表情でヒソヒソと作戦会議を始めた。
二人の瞳には「オリカを虫一匹寄せ付けずに守り抜く」という強い意志がメラメラと燃え上がっている。
「なるほど……お前が屋敷に結界を張り、私が全騎士団を配置して警護する。学院長本人が来ようと、オリカの指一本触れさせん!」
「はい! そしてオリカが使った魔法の数々は、すべて『我が公爵家に代々伝わる秘伝の魔導具による現象』として押し通しましょう!」
(ふ、二人とも……顔がすっごく悪い顔になってるよ……?)
膝の上でハンカチうさぎをなでながら、私は二人の過保護すぎる暴走に苦笑いした。
すると、お母様が私の隣にそっと座り、楽しそうにクスッと微笑んだ。
「ふふ、二人ともオリカのことが心配でたまらないのね。でもね、オリカ」
「あぅ……?」
お母様は私の頭を優しく撫でながら、温かい眼差しで見つめてくれた。
「オリカが作り出す優しい魔法は、みんなを幸せにしてくれるわ。だから、必要以上に怖がらなくても大丈夫だからね」
(お母様……! なんて優しくて心強いんだろう……)
『わんっ♪』
眠りから覚めたノワールも、私の足元に頭をすり寄せて『僕も守るよ!』と言うように小さく吠えた。
過保護な二人と、温かいお母様、そして頼もしいノワール。
家族の絆に見守られながら、いよいよ王立魔術学院との接触の日が近づいてくるのだった。




