第53話:広がる魔法と、お庭の大行進
「す、すごいです父上! 葉脈に流れるわずかな魔力を触媒にして、完璧な運動術式が組み込まれています!」
「うむ……! 紙だけでなく、自然の草花にまで『命の動き』を与えてしまうとは……」
お父様とお兄様は、ピョンピョンと跳ね回る葉っぱのカエルを地面に這いつくばるような勢いで観察している。
二人のあまりの真剣さに、ノワールも『わんっ!』と一緒になって葉っぱカエルを見つめていた。
(ふふ、二人とも研究者モードになっちゃった……)
私は楽しそうに笑うと、今度は足元に落ちていた色とりどりの落ち葉や花びらをいくつか集めた。
赤や黄色の綺麗な葉っぱをちっちゃな手でパタパタと折りたたんでいく。
(次は……可愛いバッタと、蝶々さん♪)
指先で器用に折りあげ、ふうっ……と息を吹きかける。
ぽわんっ……! ぽわんっ……!
赤い葉っぱのバッタが『ぴょん!』と跳びはね、黄色の花びらの蝶々が『ひらひら~』と舞い上がった!
カエル、バッタ、蝶々の【草木ゴーレム隊】がお庭を賑やかに動き回る。
『きゃんっ♪ わんわんっ!』
ノワールは大喜びで、ひらひら舞う花びら蝶々を追いかけてピョンピョンとジャンプ。
私も「あははっ! まてまて~♪」とトコトコ走りながらノワールたちの後を追いかけた。
「まあまあ、なんて賑やかで可愛いお庭でしょう!」
ベンチで見守っていたお母様も、可愛らしい生き物たちの行進に思わずパチパチと手を叩いて微笑んでいる。
「お、お嬢様……! 庭の落ち葉や花びらまでも、このような素晴らしいお庭の仲間に変えてしまわれるとは……!」
遠くで見守っていたお屋敷の庭師さんたちも、目をキラキラと輝かせて感動していた。
オリカの無邪気な【折り紙魔法】は、またしてもエヴェレット公爵家の人々を温かい笑顔と驚きで包み込むのだった。




