第52話:お庭のお散歩と、小さな庭師
季節は巡り、私は一歳半になった。
しっかりと自分の足で走り回れるようになった私は、今日もお屋敷の広大な庭園でお散歩中だ。
私のすぐ後ろには、漆黒の毛並みを誇らしく輝かせたノワールが、まるで警護の騎士のようにぴったりと寄り添っている。
『わんっ♪』
「のわーぅ、おはな~! きえいだねぇ~♪」
ポカポカとした日差しの中、庭園には色とりどりの花が咲き誇っていた。
お花畑のベンチでは、お母様が私の折った【永遠の魔導薔薇】を胸元に飾り、お茶を飲みながら優しく見守ってくれている。
遠くのテラスでは、お父様とお兄様が仕事の書類を片手に、魔導記録水晶をこちらに向けて構えていた。
(みんな、相変わらず見守り体制がすごすぎるよ……)
私は足元に落ちていた、一枚の大きな綺麗な葉っぱを拾い上げた。
紙ではないけれど、ふと前世で折ったことのある「草花の折り紙」を思い出す。
(葉っぱでも折れるかな……?)
ちっちゃな指先で葉っぱを器用に折りたたみ、小さな「カエル」の形を作ってみた。
そして、仕上げにふうっ……と息を吹きかけてみる。
ぽわんっ……!
なんと、緑色の葉っぱのカエルが『ぴょんっ!』と元気に跳ね上がった!
ただの葉っぱが、私の【折り紙】と【MP:∞】の力で、緑の魔力を纏った可愛らしい【葉っぱゴーレム】に変身したのだ。
『くぅ~ん……?』
目の前でピョンピョン跳ねる葉っぱカエルに、ノワールは不思議そうに首をかしげると、前脚でちょんちょんと突き始めた。
(わあ、葉っぱでも動くんだ! 折り紙じゃなくても効果があるなんてびっくり♪)
「お、オリカ……!? 意思を持たぬ植物まで動かせるというのか……!?」
「紙だけでなく、葉や草木すら媒体にして操るなんて……オリカの魔法の適性範囲は一体どこまで広がるんだ……!」
書類を放り投げたお父様とお兄様が、またしても驚愕の表情で駆け寄ってくるのだった。




