第49話:無機物に命を宿す者と、新たな遊び相手
「ち、チッチッ♪」
お兄様の指先で、紙の小鳥が可愛らしく首をかしげている。
本物の鳥と見紛うほど滑らかで愛くるしい仕草に、お兄様は息を呑んだまま指一本動かせずにいた。
「な、なんだこれは……! ルファス、魔力感知はどうなっている!?」
お父様が青ざめた顔で魔導記録水晶を握りしめたまま、お兄様に問いかける。
天才魔導士であるお兄様は、震える声で指先の小鳥を見つめた。
「信じられません、父上……!
ただの紙に魔力を与えただけではありません……最上位のゴーレム術すら超える、超高度な自律術式が一瞬で組み込まれています!
一歳の赤ん坊が、詠唱も魔導陣もなく最高峰の自律人形を錬成するなんて……!?」
(えっ……そんな凄そうなこと言われても、ただふーって息吹きかけただけなんだけどなぁ……)
お父様とお兄様が大真面目に魔法理論を語り合いながら大パニックを起こしている横で、私は首をかしげた。
パササッ……!
お兄様の指から飛び立った紙の小鳥は、部屋の中を優雅に旋回し、ノワールの鼻先にちょこんと舞い降りた。
『くん……? わんっ!』
ノワールは目を丸くしてフニフニと鼻を鳴らすと、逃げる小鳥を追って『きゃんきゃん!』と楽しそうにお部屋の中を駆け回り始めた。
紙の小鳥もノワールをあやすように、くるくると頭上を飛んで遊んでいる。
(わあ、ノワールも気に入ってくれたみたい! 良かった〜♪)
私がパチパチとちっちゃな手で拍手をしていると、我に返ったお父様とお兄様が、同時に私のもとへ膝をついた。
「オリカ……お前は一体、どれほどの天才なのだ……」
「オリカ、僕の可愛い妹……! 君は世界の魔法体系を覆す存在だよ……!」
感極まった二人に代わる代わるぎゅーっと抱きしめられ、
私は「あぅ〜♪(よしよし、大騒ぎしなくても大丈夫だよ〜)」と二人の頭を撫でてあげるのだった。




