第47話:ただいまお屋敷、深まる絆と過剰な愛
「オリカ……!!」
お屋敷の玄関で待っていたお母様は、無事にお兄様の腕に抱かれて帰ってきたオリカを見るやいなや、崩れ落ちるように抱きしめた。
社交界の女王の気品などどこへやら、ボロボロと涙をこぼしてオリカの頬に何度もすりすりとする。
「ああ、良かった……! 怪我はない? 痛いところはないかしら!?
もしオリカに何かあったら、私……私……っ!」
(お母様、私全ッ然へいきだよ! むしろ社会科見学みたいでちょっと楽しかったくらい……なんて言ったら怒られちゃうかな)
オリカはちっちゃな手でお母様の涙を拭ってあげると、「あぅ〜♪」と満面の笑みで抱きついた。
「……エレノア、オリカは無事だ。私がこの手で二度と離さぬよう守る」
「父上だけでなく、僕もです。二度とオリカのそばを離れません……!」
お父様とお兄様も、オリカを囲むようにしてぎゅっと抱きしめる。
家族全員の「超重力級の愛」が一気に押し寄せてきて、オリカはちょっと苦しいけれど、胸がぽかぽかと温かくなるのを感じていた。
「……ところでギルバート、その黒い獣は……まさか、伝説に聞くフェンリル級の神獣……!?」
お母様がふと、お兄様の足元で誇らしげに立ちふさがるノワールに視線を向けた。
その体から溢れ出る圧倒的な魔力を一目で見抜き、お母様は息をのむ。
「母上、この子はノワールです。オリカの力で覚醒し、オリカの居場所を教えてくれた守護神獣……命の恩獣なのです!」
「まあ……! オリカを守るために導いてくれたのね……! なんて誇り高く頼もしい存在なのかしら!」
お母様はノワールへ深く感謝し、「今日からあなたも我が家の大切な家族よ!」と大感激。
ノワールも『わんっ!』と力強く尾を振ると、厨房から運ばれてきた最高級の特大魔獣肉(公爵家仕様)に目を輝かせてかぶりついていた。
(ふふっ、ノワールも美味しかったみたいで良かったな♪)
誘拐事件というハプニングはあったものの、結果的にお屋敷の警備はこれまでの10倍に強化され、家族の溺愛もさらにレベルアップすることになったのだった。
(前世ではずっと一人きりの病室だったけど……こんなにも私を愛してくれる家族がいて、本当に幸せだな)
オリカはあたたかい家族の腕の中で、すやすやと幸せそうな寝息を立て始めたのだった。




